034 "夜が少女を探偵にする" 2026年6月1日

034
@kumo_m
2026年6月1日
夜が少女を探偵にする
夜が少女を探偵にする
マリー・ティアニー,
能田優
舞台は1981年のイギリスの街で凄惨な事件が起こる。  家庭環境も学校生活もあまり良くない環境に置かれている13才の少女エイヴァが主人公。  冒頭が強い。もの凄い掴みだと思った。事件は怖いが気になるし、まだ子供であるエイヴァへの心配もあってついつい読み進めてしまう。  この、エイヴァを心配する気持ちがちょくちょく刺激される。離婚家庭で母に育てられているが、その母の恋人が頻繁にエイヴァ(三人姉妹の長女)の家に泊まるのだ。しかも母は娘たちよりも恋人に重きを置いている。この環境で心配にならないはずがない。グロテスクな事件への怖さに加えて三人姉妹への心配も加わるから読んでいて結構疲れた。  真相への推理は難しくないけど、作品の魅力はそこよりも登場人物の感情や性格で、とにかく人の気持ちの綾を描くのがとても上手い。娘時代の祖母の美貌に、自分の未来を予感して疎ましく思うシーンは思わず読み返してしまった。このシーンの少し前、他の登場人物がエイヴァは自分の美貌に気づいていないということを思うけど、その彼女への解像度のわずかに足りなさが描かれていて、とても刺さったシーンだった。 デビュー作ということだけどこの人の作品はもっと読みたい。
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