花でいっぱい
@hanadeippai
2026年5月25日
読み終わった
言葉の箱に、自分の人生に関わるものを豊かに集積した人の言葉は、どんなに軽い話をしていても、どこかぎらっと重く光る。
どんな使い古された表現も、その人が口にすればもう一度光る。
それが言葉の切実なのだ。
伊藤 紺
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だれもがひとつは共感してしまいそうな、すこし痛々しい・でもまっすぐな輝きを放つ子ども時代のこと。“中二病”とか言われる、わたしだけのたいせつな世界のこと。
大人になった今も、あまのじゃくなところを残したままのわたしには、大きく頷ける言葉がたくさん散りばめられていた。
言葉でうまく説明できないけれど、わたしの中にも紺さんのいう巨大な星があって、その“たましい”と称した星に触れる瞬間を探し続けて生きているのだとおもう。
p.83 RAWの言葉
写真のデータの種類である“RAW”と“JPEG”。
心の内にある言葉をRAW、人に伝えるために調整して実際に発する言葉をJPEGとして、変換技術について書かれているところが面白かった。
あまりにわかりやすい例えだったので、今後わたしのことを説明するときにはその相手にこれを読んでほしいと思うくらい。
わたしは、心の内にある莫大な情報量を持つRAWの状態の言葉を、JPEGに変換して伝えるのに時間がかかる。
伝えたいことがいちいち多すぎて、RAWのまま相手に届けて失敗したこともたくさんある。
円滑なコミュニケーションのためにはJPEGでのやりとりが望ましくて、対面の会話であれば相手の表情や間がわかる分まだ楽だけど、文となるとだいぶ労力を使ってしまう。
どれも大事に思えてすべてを伝えたくなってしまい、削りに削った、渾身のJPEG。
限られた文字数で表現する“短歌”を生業とするひとが、おなじように悩んでいることに驚いた。
どこまで伝えるのか、付け足したり削ったり形を変えてみたりして。
だからこそ、絞り出された言葉のうしろで滲んだ思いが光になって溢れて、わたしを照らすのだとおもった。
