
さよ
@syk
2026年6月2日

ひつじ探偵団
レオニー・スヴァン
読み終わった
羊目線のミステリー。
映画をきっかけに読んでみたが、映画も小説もそれぞれ楽しめた。内容はかなり異なり、映画が人間向けのエンターテインメント作品だとすれば、小説はとても実験的な作品だったと思う。
というのも、この小説は徹底して「羊であること」を追求している。読者を羊の群れの一員にするため、文章はすべて羊目線。人間なら省くような感覚情報が描かれ、人間なら重要視する情報はなかなか整理されない。
そのため、普段のようには読めない。いつも以上に遅読になったし、何度も睡魔に襲われた。けれど退屈だったわけではない。むしろ、羊として物語世界を認識するという不思議な体験に没入できた。
読後には達成感と満足感が残った。結末もよかったと思う。
つい「羊だから馬鹿なんだ」と片付けたくなる場面もあるが、そう考えてしまうとこの物語の魅力は半減する。羊になりきり、羊の世界を味わうのがこの作品の楽しみ方なのだろう。
これから読む人には、ミステリーの謎解きや細かな出来事を追うことよりも、羊の五感で群れの仲間たちと一緒に人間世界を観察するつもりで読むことをおすすめしたい。

