
たご
@clan_1967
2026年6月2日
きりぎりす改版
太宰治
読み終わった
『日の出前』が衝撃的だった。
これではいけない、真っ当にならなければとわかっていながら、けれど振り上げた拳を下ろすタイミングをなくし、高く手を挙げながら、のしのし歩いている兄。その姿は、勇ましいというより哀しく滑稽だ。本当はもう降参だと手を挙げているのに。親不孝者の振りをしているうちに、いつしか本当に親不孝者になってしまった。いや、それが元々の性質だったのかもしれない。
妹はきっと、本当に兄のことが好きだった。信じたいと思っていた。だから、死んで幸せになったのは、兄を除く家族なのではなくて、兄を含めた家族のことを言っていたのかもしれない。


