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たご
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@clan_1967
  • 2025年6月23日
    筑摩現代文学大系〈50〉石川達三集 (1976年)蒼氓 生きている兵隊 神坂四郎の犯罪 骨肉の倫理 三代の矜持 自由詩人
    『生きている兵隊』 発行後すぐに発禁処分となり、裁判にまでかけられた作品。 著者である石川に反戦の意図はあったのか、そうではなく、彼が証言するように、ただ銃後に胡座をかいている国民に喝を入れたかったのか、その真意はわからないが、いずれにせよ戦争の一つの実態と当時の軍部の対応を今に伝えるうえで重要な意味をもった作品だと思う。 基本、兵士たちは喜んで戦争に加わっているわけではない(一部例外はいるが)。できるなら人なんて殺したくないし、戦うのだって怖い。でも、だからといってどうすることもできない。戦場から逃げ出したところで、どうなることでもない。だから次第に彼らは諦め、慣れてゆく。それどころか、異常さを進んで受け入れようとする。世界とか時代とか、そういった大きなものの前では、人はあまりに無力だ。
  • 2025年6月19日
    桜桃
    桜桃
    桜桃忌なので。 桜桃という、キラキラした宝石のような果物と、それをさもまずそうに、種を吐き吐き食べる父親。その光景はどうにもアンバランスで滑稽で、そのアンバランスさと滑稽さがかなしい。
  • 2025年6月10日
    ドラママチ
    ドラママチ
    テーマは「待つ」。待つという気持ちが、喜びから苛立ちに変わるのはいつなんだろう。誕生日だって旅行だって、何かを待つという気持ちは何か素敵なことが起こるような、甘い興奮を私たちにもたらす。けれど、もしかしたら待っているものはいつまで経っても来ないかもしれないとわかったとき、そもそも待っているものなんて無かったのかもしれないと思ったとき、次第にそれは、じりじりした苛立ちへと変わり、そうして途方に暮れる。けれど最早、自分から動き出すこともできない。待つということと、何もしないこと、ただ怠惰であることに違いはあるのだろうか。角田さんは答えを見せてくれているような、そうでもないような。
  • 2025年5月30日
    人質の朗読会
    人質の朗読会
    拉致というセンセーショナルな出来事が前提にある中で、人質たちの語る物語は穏やかで静かである。その物語の中には、けれどひっそりと死の香りが漂っている。それは決して悪臭ではないが、ふとした瞬間にはっと気づく。この人はもうここにはいないのだと。そのことに愕然とする。そしてまた、彼らが語る物語の中にも、もうここにはいない人がいる。 たとえ今がどんな状況にあったとしても、過去は変わらない。出会った人とは出会わなかったことにはならない。時として残酷ではあるけれど、そのことを物語ることができるのは自分だけだ。何かを物語るということは、この声がどうか誰かに届きますようにという祈りでもある。 小川洋子さんの作品ははじめて読んだけれど、いいなあ。
  • 2025年5月27日
    ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ(4)
    魚豊先生にひれ伏すばかり。この世で最も不幸なことは、自分を信じられず、そうして信じたいという気持ちも沸き起こらないことなのかな。
  • 2025年5月16日
    八日目の蝉
    八日目の蝉
    中学生の頃に初めて読み、それ以来、角田さんの描く作品とその価値観を信用しきっている。男女の関係とか親子の確執とか、そんなことを考えたこともなかった自分がそれでも心を動かされたのは、きっとこの作品が、「私」という自己そのものを探す作品だったから。 望んだものは手に入らず、それなのに決して欲しくなんてなかったものだけは、どうしようもなくもってしまっている。無数の「こんなふうになりたいわけじゃなかった」を抱え、人は生きていく。けれど、たとえ望んだものではなかったとしても、ぎゅっと目をつむっていなくちゃならないほど、そこから見えるのはひどい景色ばかりではない。八日目の先にはどんな景色が広がっているのか、それはその人自身にしかわからない。
  • 2025年4月30日
    昨日、若者たちは
    「頑張れ」という言葉は、時として人を深く傷つける。頑張っている人に頑張れと言ってはいけない、なんてこともよく言われる。いつしか威厳を失ってしまった力強い励ましの言葉は、けれどそれでも人を鼓舞し、生きようと一歩を踏み出す勇気を与えたりもする。頑張れ、頑張れと、両手をぎゅっと握り締め、奥歯を噛み締めながら祈ることの切実さには、きっと嘘はない。 コロナ禍が終わってもなお悪意のはびこる世界だけれど、それでも誰かを見て「頑張れ」と言える世界であったらいいな。
  • 2025年4月23日
    リンさんの小さな子
    リンさんの小さな子
    他者の痛みを思う心は言語を越える、か。「こんにちは」という言葉は、正も負もなく、一番まっさらな言葉なのかもしれない。
  • 2025年4月21日
    晩年改版
    晩年改版
    『人間失格』とかそれこそ晩年の作品を読んでからだと、ああ太宰もこのときは若かったんだとなにやら感慨深くなる。自分の苦しみをさらけ出そうとする語りの若さ。けれどもただ垂れ流しているわけではなくて、技法は考えつくされている。 『猿面冠者』なんていったい何重の入れ籠構造なんだよ。。
  • 2025年4月15日
    方舟を燃やす
    方舟を燃やす
  • 2025年4月7日
    津軽
    津軽
    津軽風土記でありながら、同時に、自己の生まれを発見する物語でもある。行く先々で出会う人々との交流が、最終場面でのたけのと再会に帰結する。なんという構成のうまさだろう。 それにつけても、『津軽』の語り口の小粋さたるや。 さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行かう。絶望するな。では、失敬。 かっこよすぎる。
  • 2025年3月29日
    ナラティヴの被害学
  • 2025年3月18日
    すべての、白いものたちの
    すべての、白いものたちの
    具体的な描写はほとんどない。100人いれば100通りの景色を思い浮かべるだろう。「白い」だけを共通言語として。
  • 2025年3月13日
    ハコブネ
    ハコブネ
    初出は2010年。発表当時の価値観で読むのと、今のそれと、違いがあるのか、どうか。
  • 2025年3月10日
    沈黙
    沈黙
    「チ。」のアニメを見ながら読み進めていたから、頭の中が大混乱。信仰ゆえに苦しみがあるのなら、いったい神は人に何を求めているのだろう。
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