きりぎりす改版

10件の記録
- ゆい奈@tu1_book2025年6月9日読み終わった@ 自宅p290「あなたの作品を、もちろん昔と変らず、貴いものと思って居ります。けれども、その貴さは、はるか遠くで幽かに、この世のものではないように美しく輝いている星のようです。」 『皮膚と心』『風の便り』『水仙』が好きだった。胸の内にある感情と言葉の近さにいつも驚かされる。近いとさえおもえないほどの近さ。感情がそのままの言葉として表面化されていく自然さと美しさ。どうしてこんなにも美しい言葉を紡げるのだろう。読むたびにため息がでるほど好きだなあとおもう。ほんとうにだいすきだ。 付箋を挟んでいなくて、たくさん折った。
- ゆい奈@tu1_book2025年6月6日読んでる読んで寝る@ 自宅6月は桜桃忌なので、太宰を読む。Readsの記録によると、寝る前の本として4月に読んでいたらしい。そのつづきから読みはじめる。こういうことをできるから短編集は気楽でいい。そして読みはじめておもう。やはり太宰はいい。 「私は、いま人では無い。芸術家という、一種奇妙な動物である。この死んだ屍を、六十歳まで支え持ってやって、大作家というものをお目にかけて上げようと思っている。その死骸が書いた文章の、秘密を究明しようたって、それは無駄だ。その亡霊が書いた文章の真似をしようたって、それもかなわぬ。やめたほうがいい。にこにこ笑っている私を、太宰ぼけたな、と囁いている友人もあるようだ。それは間違いないのだ、呆けたのだ、けれども、ーーーと言いかけて、あとは言わぬ。ただ、これだけら信じたまえ。『私は君を、裏切ることはない』」
- さと@saty_11032025年4月27日再読中昔から家にあった短編集を再読 表題のきりぎりすが何回読んでも新しくて好きです この主人公の語り、映画「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の松たか子で脳内再生される
- ゆい奈@tu1_book2025年4月1日読んで寝る寝るまえに太宰を読むことでホッとするみたいなところがあって、あるのだけど、今はもう、ねじまき鳥を寝ても覚めても一気に読むべきではないかとおもい、あと1週間後放送がはじまるし、さて、どうしようとこんな時間まで起きてしまっていて、悩む。本の読みはじめは悩まなければならないのがいやだな、連なりのある読書だったり、作家読みをするとこういうことで悩まなくていいから楽なのだな、だから私はそういうに読んでいるのだな、ぶつぎりになればなるほど、だめ。ほんとうに悩む。困る。
- 読書猫@YYG_32025年3月20日読み終わったまた読みたい読み直した(「きりぎりす」本文抜粋) “あなたは、ただのお人です。これからも、ずんずん、うまく、出世をなさるでしょう。くだらない。「私の、こんにち在るは」というお言葉を聞いて、私は、スイッチを切りました。一体、何になったお積りなのでしょう。恥じて下さい。「こんにち在るは」なんて恐しい無智な言葉は、二度と、ふたたび、おっしゃらないで下さい。ああ、あなたは早く躓いたら、いいのだ。私は、あの夜、早く休みました。電気を消して、ひとりで仰向に寝ていると、背筋の下で、こおろぎが懸命に鳴いていました。縁の下で鳴いているのですけれど、それが、ちょうど私の背筋の真下あたりで鳴いているので、なんだか私の背骨の中で小さいきりぎりすが鳴いているような気がするのでした。この小さい、幽かな声を一生忘れずに、背骨にしまって生きて行こうと思いました。この世では、きっと、あなたが正しくて、私こそ間違っているのだろうとも思いますが、私には、どこが、どんなに間違っているのか、どうしても、わかりません。”