ぶんか遺産 "女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在..." 2026年6月2日

女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処
一見まともなファンタジーミステリに見えるが、入れ子構造を何重にも仕掛け、もはやメタフィクションの域に突入しており、新鮮な読み味。意欲的な試みで、なるほどメフィスト賞らしい作品だとは思う。 個人的にはこういった奇抜さは歓迎したいものだけれど、どうにも「やりっぱなし」、つまりばら撒いた仕掛けがどう成果を出すかについて無頓着であるように感じた。 また、ファンタジーとしてもミステリとしても中途半端。よく書き込めば魅力的になりそうな世界観なのに、作中世界を増やしすぎたからか全体的に描写が淡白で、いまいち楽しくない。学術都市とか砂漠とか絶対好きなのに......。音韻変化の話は好き。 ミステリとしては......いや、推理するまでもなく書いてあるけどね、みたいな要素が多くて肩透かし。元々その辺りに大きな期待はしていなかったけれど、それにしても残念ではある。 物語としても、思ったより現代的なテーマに帰着した印象。ただ、今宗教と戦争について語るのならばもっと深く書いて欲しかった(「よくないね」で終わってしまっている)。
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