
さくら🌸
@lily_sakura_
2026年6月3日
川のある街
江國香織
読み終わった
場所も登場人物も全く異なるが、「川がある」という点で共通している街に住む人々(あるいは動物)たちの物語。「川のある街」では小学3年生の望子、「川のある街Ⅱ」では小学生ほどの女の子と男の子、入院中の女性や、なんとカラスなど、様々な人物が登場し、その視点から物語が紡がれる。一体どれだけの人物や動物が、江國さんの中に宿っているんだろうと思わずにはいられない。「川のある街Ⅲ」の舞台はアムステルダムで、認知症が進行している芙美子と、その姪である澪の視点から成っていた。認知症の人が考えていることや見ている景色って、これなんじゃないかと思ってしまう描写。どうしてここまでリアルに描けるんだろう。解説で朝吹真理子さんが「道は人が知りようのないこともすべて吸いあげて覚えて居るんじゃないだろうか。」(p.232)と書かれているように、3つの「川のある街」たちも、彼ら彼女らの日常や人生の一部を吸いあげて覚えているんじゃないかと思う、そんな物語だった。
一つめの物語のラストが「大人の年齢は、望子には見当がつかない。」(p.85)で、三つめの物語のラストが芙美子の「若い人の年齢というものは、芙美子にはもはやさっぱり見当がつかない。」(p.231)と対照的になっていて面白かった。
「こうして眺める川は
──雨の多さで水量は変るにしても──
つねにおなじ姿に見えるのに、
いま見ている水とさっき見た水は違う水なのだ。」(p.29)


