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2026年6月4日

虚空の逆マトリクス
森博嗣
p9
「知っていることもまた意志の一つだったし、知っている、と自覚することこそが、唯一残された意志の結晶かもしれない。」
p13
「彼女は、そして、僕は、どこから来たのだろう?」
p14
「だけど、僕が彼女を殺すはずはない。それが理由になるのかどうか、よくわからないけれど、彼女のことが僕は好きだった。愛していたかもしれないほど、彼女といると楽しかった。だから、殺す理由なんて僕には絶対にない。」
p16
「【キスをしますか?イエス/ノー】」
p27
「「うん、そうだなあ、トロージャンの場合は、見かけは立派な人間に見える。病気でもない。どこにも異物を含んでいない。ただ、その人間は生まれたときから、悪事を働くためにプログラムされているんだ。」」
p53
「他人に囲まれて、他人と比較しないと、自分を見失ってしまうのだろう。」
p57
「「イエス?ノー?」」
p69
「人は破壊する。破壊したい、と欲する生きものだから、必ず、いつかそのベクトルが現れる。それを消し去ることは、人間でなくなるのと同じ。」
p74
「急に、誰かに、触れたい、と思った。それが、どういう感情なのか、思い出すのに時間がかかる。長い間、ずっと眠っていた欲望のようでもあった。とても懐かしい。」
p88
「【これが最後の質問だ。君は私を信じるか?イエス/ノー】」
p89
「【君は、私が送り込んだトロイの木馬だ。】」
p90
「これほどエラーの多いスクリプトはないのに、何故か止まらずに走り続ける、それが人間の仕様だ。」
p95
「「夢をみているの?」」
p96
「「私の可愛い子。」」
p96
「「お願い。」優しい声で彼女は言う。求めるような、甘えるような、縋るような、大人の女性の声で。」
p100
「「助けて!」」
p101
「【ここに入りますか?イエス/ノー】」
p102
「巨大な馬の形をしている。斜めの柱は、馬の脚だったのだ。木馬だ。」
p104
「「もう、私たち、おしまいね。」」
p106
「「私を殺すことで、このネストから抜けられるはず。」」
p106
「「お願い……。」「サヲリ。」「可愛い子。」」
p109
「「可愛い子、ボクは、私のトロイの木馬だったのよ。」」
p118
「君は現実に存在するのか。君が存在する理由は何か。君はどこから来たのか。」
p118
「誰かが君を送り込んだのかもしれない。君が自由に行動しているつもりでも、それは、初めから計算されていたルーチンで、もっと大きな目的のために、君の働きが秘密のうちに期待されていないともかぎらない。」
p119
「自分は自分の意志で生きている。それが人間の自由だ、と考えること自体が、一種の封印ではないか。その呪文があるかぎり、その先に潜む本当の存在を、君は見過ごしていないだろうか。どうして、自分以外の意志の関与をそんなに恐れるのか。その不自然さを、どう理解できる?」
p119
「いずれにしても、それを問うことは、君の自由。目の前のドアの中に、それは見つかるかもしれない。選択せよ。ただし、この実行は取り消せない。【ここに入りますか?イエス/ノー】」
p154
「ただ、そんな実に頼りのない後押しだけで、僕は人生の決定的な一歩を踏み出してしまった。」
p159
「最もありがたいと思ったのは、好きなときに好きは本が買える。」
p159
「しかたのないことだとは思うが、小説家というのは、いうなれば誤解を製造しているようなものなのだ。」
p193
「なるべく生きた他人と関わりたくない。それが理想型である。」
p197
「常々、禁煙者よりも禁話者を設置してほしいものだと強く願っている。これはタクシーにかぎらない。鉄道やその他の施設などでも、ぜひ考えてもらいたいと思う。」
p200
「そんな勝手な普通を押しつけてどうする。」
p203
「「ジジツトリック?ああつまり、事実だと思っていたことが、実は事実ではなかったって意味でしょうかね。」」
p218
「少なくとも、本は読もうと思って読むもの。」
p221
「変化の原因は継続しているのに、変化はほとんどの場合、瞬間的に訪れるものだ。」
p246
「モナカを買おかなも。」
p253
「♢2」
p255
「「土井さん言う、封印再度。」」
p256
「「若い犀川。」」
p256
「「練無なりね。」」
p310
「「君の名は……。」」
p318
「彼とのつき合いは、もう四半世紀にもなるのだから、パターンはだいたいわかってる。」
p320
「「そんなに、友達思いだったか?」」
p320
「「嘘の方が価値がある、と言う場合もある。」犀川は応えた。「それ、余計なお世話って言わないか?」「サービスとも言う。」」
p322
「犀川が彼女の家にやってくる特別な夜なのに……。」
p323
「そう、この緊張感から逃れたい、と言う後ろ向きの思考、不条理な感情だ。楽しさがあまりに鮮烈なので、自分はそれに耐えられない、と弱音を吐く……、そう、恥ずかしい、照れているのだ。そうにちがいない。犀川と二人だけになることが、それが最高のコンディションぇあることは明々白々なのに、ショックだと認識する。だから、クッションを設け、その嬉しいショックを和らげようとしているのではないか。」
p325
「「犀川先生が指輪でもくれたの?」」
p325
「「男はセンスが悪い奴にかぎる。」睦子は自分で言ってからくすくすと笑った。」
p332
「「外部に評価を求めてはいません。」」
p335
「萌絵も犀川も表面的には上機嫌だった。けれど、戦争寸前の両国の使者が会談するときだって和やかなもの。人間は、その程度には複雑にできているのである。」
p357
「「つまり、紙袋がどこかで、すり替わっていた、ということですか?」」
p365
「「そういうときにさ、どうして本命から言わないんだ?」喜多が横から言った。「それが、話が長いってことだろ。」」
p371
「「事件なんか早く解決して、私と二人だけになりたかったのですね?」」
p372
「「これを、ここに置いておくよ。」」
p375
「「プレゼント。」」
p376
「「二人とも、もっと素直にならなくちゃ。」」
p377
「「ええ……、いつの間にか、入れ替わったみたい。」」