いち。 "ラブカは静かに弓を持つ" 2026年6月4日

ラブカは静かに弓を持つ
「たとえ、経歴とかが嘘だったとしても、君は、ちゃんと、ここに来た。この世は何が起こるかわからない」 全日本音楽著作権連盟、通称を全著連。これに所属する橘はある調査のため、ミカサと呼ばれる楽器メーカーの音楽教室へ生徒として潜入し、スパイとして活動を開始する。彼は身分を偽りながら、目的のために講師である浅葉とその仲間と接触し続ける。その日々の中で確実に、彼の意識はかつて情熱を燃やした音楽へと傾き始めていたーー。 嘘がテーマの物語で、主人公の葛藤がストレートに表現されている作品。気がついたら取り返しのつかない状態になっていて、それをわかっていたのに止められない事情があって、でもそれは決して本意ではなくて、絶対悪は別のところに存在するのに自分が引き金を引いた事実は変えられない。現実に生きていて嘘をつかないというのは大小にかかわらず、不可能に近い。真実だけ伝えることが正解とはいえない。そんな不完全な状態から脱却しようとする主人公に、変わるきっかけが舞い込んだって、そんなうまい話があったっていい。
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