
Unununium
@Unununium_111
2026年6月5日
葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
読み終わった
読む時代によって評価が変わるのではないかと思えるような作品。
こんな叙述ミステリーもあるのかと驚いた!
冒頭から生々しい情事シーンから始まり、ちょっと読み進めるのに抵抗を感じたが、読みやすい文章で直ぐに没頭してしまった。
【以下、ネタバレ注意】
読む時代によって評価が変わると思った点は、叙述トリックとしてのヒントが、昭和や平成を生きた人でなければ気づけない箇所が多いためである。
例えば、携帯電話についての描写で、「型番F67..」みたいな箇所があったが、これがシニア層ターゲットのらくらくホンで使われる型番など補遣を読むまで知らなかった。
また自分の配偶者を「おじいさん」と呼ぶ人など今の時代ではあまり聞いたことないし、高校をでておらず60歳で会社を退職して定時制高校に入り大学を目指す人も今はあまり一般的でないように感じる。
以上のようなことを知らないのは私の知識不足ではあるが、やっぱり自分にとって一般的なことではなかったためヒントを見つけられず、トリックが突拍子もないように感じちょっとズルいなと思ってしまった。他にもストーリー上でご都合主義的なところもあったりとちょっとミステリーとしては違和感を感じてしまった。
一方で、昔の作品と気づけないくらい読みやすく、今の時代に置き換えて想像できるような書き方がされているからこそ騙されたしズルいなと思ったので、いつの時代でも古くなく感じられる読みやすい文体は素晴らしいと思う。
また作中で『2025年には女性の平均寿命が九十歳になる』みたいな言葉もあり、もう2025年過ぎたなぁと改めて本作品が生まれた2003年からの月日の流れを感じた。
終盤の将虎の…
『……実現可能か不可能かは、やってみてはじめてわかることだ。……俺は生きてるかぎり挑戦するよ。……俺なんかまだまだ小僧だ。……』
『二十歳の俺と七十歳の俺とで何が違うのかと、ときどき考える。』
…という年齢に囚われずバイタリティを持って生きていく言葉が刺さった。将虎に比べたら本当にまだまだ小娘な私は、将虎以上にバイタリティを持って生きていこうと前向きになれた。
面白く読みやすい作品であったが、個人的にはミステリー作品としてより、ボーイミーツガール作品や老春作品としての方がしっくりくる作品であった。








