

Unununium
@Unununium_111
最近はミステリーにハマっています。
どうしても好きだったり、興味がある分野の本ばかり読んでしまうので、他分野の知識が得られるようなミステリー作品を探しています。
まだ知識がなく、これから知りたいと思っているジャンルは絵画、クラシック、歴史、食文化です。
今まで通り好きな作品も読みながら、新しく今あげたジャンルが関わってくるような面白い作品に出会えたら嬉しいです。
2026.4.24~
- 2026年6月29日
読み終わった密室劇、デスゲーム、ミステリーの要素がふんだんにある作品。その場で起こった殺人についてではなく、かつて起こった自殺と思われる殺人について、関係者が密室で議論していく様子は面白かった。 タイトル通り、登場人物の役割が探偵、犯人、被害者とコロコロ変わる様子が楽しい。 ある事件が生じた際に、第三者から正義の名のもとに行われる加害者への過剰なSNSでの誹謗中傷問題など、現実世界で今まさに起こっている問題が主題で登場人物たちと一緒に被害者、加害者視点で色々考えることができた。 個人的には、ミステリー作品やデスゲーム作品が好きな方より、密室劇作品好きな方に合いそうな作品だと感じた。 【以下、ネタバレ注意】 一つ目の再現劇というオチは、個人的には少し「うーん」という感じだった。確かに「再現劇だからあの人はあんなセリフを言ったのか」という伏線になっている点は多数ありそこは面白かったが、再現劇をした理由が少し弱く感じた。 またテーマとなっている問題が、上述したSNSでの問題など現実世界に即したリアリティのある問題なのに、最後の真相で明かされるトリックが少し非現実的に感じてしまった。双子や整形など、フィクション世界なら納得できるがリアルでは通用しない気がしてしまう…。フィクション作品なのでこの真相でも全く問題はないのだが、テーマに凄くリアリティがあったの少しガッカリしてしまった。 密室劇作品としてはとても面白かったので、好きな方にはおすすめ。 - 2026年6月23日
読み終わった引き込まれ、考えさせられるミステリー! 面白すぎて寝る時間を削って一気読みしてしまった。 ミステリーとしても本当に素晴らしく、「ええ!そうだったのか!」「犯人当てれなかった!」みたいな感想ももちろんありそれだけでも楽しめるのだが、本作はそれ以上に自分のこととして考えさせられる主題が存在しているのがとても魅力的だった。特にラストは凄まじい。 異常な状況なのに、各登場人物に凄く共感できる感情も随所にあって、まるで自分も方舟にいるかのような感覚に陥った。未読の方にはぜひ読んでもらいたいし、読んでしまったら語りたくなり、色んな意見を聴きたくなる作品。 【以下、ネタバレ注意】 犯人が判明するタイミングで、「そこまでする程恨む動機だったのかな?もう少し深掘りが欲しかったな」と思っていたが、最後の最後に本当の動機が知れてこれ以上ない程共感できたし、恐怖した。あの瞬間に犯人、主人公、その他のメンバーのそれぞれの感情やこの後の行く末を想像して、色んな感情がない混ぜになり鳥肌がたった。 少し前の主人公と犯人の別れのシーンで、「一緒にいるって言ってくれよ!」と思いながら読んでいたので、ラストのあの結末とそれに対する主人公の… 『……どちらも同じくらい無意味であるのが、直感的に分かっていた。』 …というセリフから、もうどうしょうもならない絶望感を痛いほど感じられた。 またその前の犯人の… 『……でも、そうはならなかったから、残念だけど、もういいかなって。』 ……というセリフは個人的には凄く共感できた。いわゆる「冷めた」を感じる瞬間の最上位だと思う。 そして、探偵役がここまで悲惨な末路に陥るミステリー作品ははじめてでびっくりした。謎解きの最中はミステリー作品らしくスポットライトを浴びて輝いているように感じたのに、真相が明らかになった後の…… 『……俺は、君が、極限状況のときに誰よりも理性的な判断ができることを信じている。』 …なんて凡庸で何の感情も動かされないようなセリフを吐くとは思わず、急に「普通の人になってしまった」ギャップに驚いた。ラストシーンの絶望の絶叫とその後の結末を考えると、「探偵」が「普通の人」になってしまったのにも頷けるのだが、ミステリー作品で初めての経験だったのでびっくりした。 各登場人物に共感できたと上述したが、読了後の感想としては犯人に一番共感した。それ故に他のメンバーは偽善者のように感じられ、ある意味「お互い様」なのだから、個人的な解釈としては、きっと犯人が無事に生き残れた後に後悔や自責の念に苛まれることはないんだろうなと思った。 - 2026年6月22日
虎よ、虎よ!アルフレッド・ベスター,中田耕治読み終わった本を読む醍醐味を味わえた作品。 読み慣れない長編SF作品で、惑星間戦争などイメージがつかず読み終わるまでに苦労したが、「ジョウント」というテレポテーション能力で世界と宇宙を瞬時に移動するスケールの大きさに圧倒された。全編を通して展開がめちゃくちゃ早く、良く理解できないまま進んでいく点もあったが、読み進めると違和感のあるセリフや展開が伏線になっていたりと納得できた。 また本書は、私が幼い頃に好きだった「巌窟王」に着想を得た復讐譚である点も凄く読みごたえがあって楽しめた。 【以下、ネタバレ注意】 本を読む醍醐味を味わえたと感じたのは、テレポテーションで一瞬で場面が変わる点もさることながら、ラストの共感覚のシーンが凄まじいかったからである。 全ての感覚も時間も空間も超越するあの描写は、読書体験でしか経験できないと感じた。また文章表現だけでなく、文字のタッチなどで共感覚を表現しているのも凄いと思った。これも本ならではの表現で、こんなに色々なレイアウトがならぶ小説は初めてだった。 強烈な復讐から次第に贖罪と救済に変わっていく点も見どころだった。 - 2026年6月10日
熊の場所舞城王太郎読み終わった先月読んだ「君のクイズ」で本作が登場しており、そこから気になって手に取ってみた。 匂いや温度、空気感を肌で感じられて、没入するというよりも迷い込んでしまうという感覚に近い読書体験ができた作品! 表題作を含めた短編3集で、どれも読みやすく現代の口語体で展開するのに、どこか純文学みもあって個人的には好きな作品だった。 これで私も「戻るべき恐怖の場所」を表現する時には「熊の場所」という言葉を使えるかな笑 【以下、ネタバレ注意】 ・熊の場所 本文中に登場する… 『この大きな恐怖を、僕は何とかしなくてはいけない。このまま抱えて今日と明日とあさってを迎えてはいけない。……』 『恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない。』 …という言葉通りに恐怖と対峙していく様子に凄く引き込まれた。まるでその場に自分がいるかのように一番感じれた作品で好きな話だったが、ラストのホラーっぽい不思議現象がでてくる点は個人的にはあまり納得感がなかった。 また、『……死に物狂いでやってて気迫が足りないくらいなら死んだ方がマシだろう。そっちの方がずっとマシだろう。』という言葉も刺さった。 ・バット男 誰にも共感できないのに、全員の心情が凄く理解できる。自分の周りで同様のことを経験したことがないのに、近い感覚は知っている気がする。そんな感覚にさせられた作品。神の考え方や『多神教を取り戻せ』という箇所は同意。 ・ピコーン! かなり直接的で下卑た卑猥な表現が多数でるので、 読むのが少し辛かったが、主人公の性格や恋人の死の真相を推理していくストーリーの流れやその後の心の動きという点は好きな作品。 - 2026年6月9日
教養悪口本堀元見読み終わった一見悪口に聞こえないが、意味を知っていると悪口と理解できる知性とユーモアのこもったインテリ悪口を知れる本。 意味だけでなく使い方も含めてインテリ悪口を学べるという点ももちろん面白いが、個人的には行動経済学やプログラミング、宗教、古典、歴史などなどの幅広い分野の興味深い知識がざっくりと知れ、それらの知識が全然関係のない現実で起こる事象に類似性があり、それが悪口に繋がっている点が特に面白かった。 やっぱり知識は人生を豊かにするなぁと感じた。 あとがきに書いてあったが、リサーチが足りず厳密には間違っている点もあるようなので、本書で興味を持った内容は自分でも触れて、より深く知りたいと思った。 【以下、気になった内容】 ・パリティビット(情報理論) ・レディ・マクベス効果(行動経済学) ・キューとスタック(コンピュータサイエンス) ・ニオベ、ニオベの泣き岩(ギリシャ神話) ・ヘロストラトス、ダムナティオ・メモリアエ(歴史) ・ファウスト、オイフォーリオン(戯曲) - 2026年6月6日
ルビンの壺が割れた(新潮文庫)宿野かほるおすすめ読み終わったまだ読んでいない方にはぜひ読んでもらいたい作品。わずか170ページで今まで味わったことのない読書体験ができる! 見る人によって見え方が変わる「ルビンの壺」をタイトルに冠しているだけあって、読了後の感じ方が人によってかなり分かれるようであるが、私にとっては「恐怖」「驚愕」という感情を芯から感じた作品だった。 Readsを始めてから、なるべく自分の感じた感覚を文章化するように心がけているが、この作品については「恐怖、驚愕」しか言えない状態である。正直何が怖いのかすら分からないが、とてつもなく怖くて、個人的にはホラー作品を読むよりも遥かに怖い感覚を覚えた。 言葉にできないので体に起きた状態を記載すると、本作のある部分から驚きで鳥肌がたち始めたが、腕だけでなく、お腹、脚、顔、指先とほぼ全身に広がっていき、しかもラスト読み終わってもしばらくその状態のままだった。記憶してる限りで多分人生で一番長く鳥肌がたっていたし、ラストは叫びそうになった。 短い中で目まぐるしく見え方が変わり、読了後は自分にとっての1つの感想が得られるので可能であればぜひ一気読みして頂き、経験したことのない読書体験を満喫してもらいたい。 - 2026年6月5日
葉桜の季節に君を想うということ歌野晶午読み終わった読む時代によって評価が変わるのではないかと思えるような作品。 こんな叙述ミステリーもあるのかと驚いた! 冒頭から生々しい情事シーンから始まり、ちょっと読み進めるのに抵抗を感じたが、読みやすい文章で直ぐに没頭してしまった。 【以下、ネタバレ注意】 読む時代によって評価が変わると思った点は、叙述トリックとしてのヒントが、昭和や平成を生きた人でなければ気づけない箇所が多いためである。 例えば、携帯電話についての描写で、「型番F67..」みたいな箇所があったが、これがシニア層ターゲットのらくらくホンで使われる型番など補遣を読むまで知らなかった。 また自分の配偶者を「おじいさん」と呼ぶ人など今の時代ではあまり聞いたことないし、高校をでておらず60歳で会社を退職して定時制高校に入り大学を目指す人も今はあまり一般的でないように感じる。 以上のようなことを知らないのは私の知識不足ではあるが、やっぱり自分にとって一般的なことではなかったためヒントを見つけられず、トリックが突拍子もないように感じちょっとズルいなと思ってしまった。他にもストーリー上でご都合主義的なところもあったりとちょっとミステリーとしては違和感を感じてしまった。 一方で、昔の作品と気づけないくらい読みやすく、今の時代に置き換えて想像できるような書き方がされているからこそ騙されたしズルいなと思ったので、いつの時代でも古くなく感じられる読みやすい文体は素晴らしいと思う。 また作中で『2025年には女性の平均寿命が九十歳になる』みたいな言葉もあり、もう2025年過ぎたなぁと改めて本作品が生まれた2003年からの月日の流れを感じた。 終盤の将虎の… 『……実現可能か不可能かは、やってみてはじめてわかることだ。……俺は生きてるかぎり挑戦するよ。……俺なんかまだまだ小僧だ。……』 『二十歳の俺と七十歳の俺とで何が違うのかと、ときどき考える。』 …という年齢に囚われずバイタリティを持って生きていく言葉が刺さった。将虎に比べたら本当にまだまだ小娘な私は、将虎以上にバイタリティを持って生きていこうと前向きになれた。 面白く読みやすい作品であったが、個人的にはミステリー作品としてより、ボーイミーツガール作品や老春作品としての方がしっくりくる作品であった。 - 2026年6月2日
ざんねんないきもの事典かわむらふゆみ,下間文恵,今泉忠明,徳永明子読み終わった児童書手放せない一冊不思議だったり、面白い特性をもつ動物を知りたいと思い選んだ作品。 単行本サイズで気軽に読めるのは有難いが、幼い子供と一緒に見て話しながら読める図鑑サイズだと個人的にはもっと良かったなと感じている。 児童書なので読みやすく分かりやすいのに、象やカバなどお馴染みの動物でも初めて知る内容があったり、「こんな生き物もいるのか!」と驚いたりと新しい発見が多く、ついつい誰かに話したくなる雑学が満載で、大人が読んでも学びがあり楽しかった。 まだ一人で読める年齢ではないので、将来的に本棚に揃えて置いて、ふとした時に子供が自ら手に取って好奇心を刺激できたら嬉しいなと思っている。 【以外、本文中で特に好きな内容を抜粋】 ・ミツクリエナガチョウチンアンコウのオスはメスのイボになる。(p85) →交尾のためだが複数のオスがくっつくため、ただのイボとしてだけ生涯を終える個体がいるという点に哀愁を感じる。 ・オドリバエのオスがメスにあげるプレゼントは中身がからっぽなことがある。(p100) →前足から出す糸でプレゼントの虫をラッピングすることも驚きだが、中身をからっぽにしてメスがプレゼントを開けようとしてる間に交尾をすませて逃げる詐欺師のような個体がいることにも驚いた。 ・ドウケツエビはおりの中で一生をすごす。(p121) →ガラスの彫刻のようなカイロウドウケツという生き物がいることも初めて知ったし、幼い頃に2匹で対になりその中に入って暮らすドウケツエビという生き物がいることにも驚いた。カイロウドウケツの中は快適だが、成長すると出られず一生二人きりで綺麗な檻の中で暮らすことになる。そんな退廃的な耽美さを持つ生き物がいるなんて思っても見なかったので、もっと詳しく知りたくなった。 - 2026年5月31日
俺たちの箱根駅伝 下池井戸潤読み終わった何かを全力で頑張ったことのある方にはぜひ読んでもらいたい作品! 記録が残らない寄せ集めチームが、チーム間の摩擦や外部からの嘲笑を乗り越え、純粋な目的で箱根駅伝の上位を目指して行く姿に、自分の学生時代取り組んだ部活動のことを思い出して胸が熱くなった。 各選手の背景や苦しい中でタスキを繋ぐ姿に、何度もウルッとさせられた。 今まで箱根駅伝を見たことがなかったが、こんなに熱い物語があるのかと来年に向けて興味が湧いてきた。 作中ではテレビ番組としての箱根駅伝をつくるテレビマン達の視点も見どころであり、ジャーナリストの視点で情熱を持って取り組んでいる方もいるんだと感じ、フィクションとは分かっているが、マスコミに対する印象が少しだけ変わった。 上巻の感想でも書いたが、読みやすい文章なのに硬めで綺麗な言葉が適切に散りばめられていて、状況や心理描写が丁寧に描かれている点が本当に素晴らしいと思う。まるで漫画やドラマを見てるように軽くスムーズに読めるのに綺麗な日本語にも触れられる作品というのはなかなか出会えないため、他の池井戸潤作品も読みたくなった! 一方で、映像作品を見てるようなので深い読書体験を期待してる方には向かないようにも感じる。 私自身、通常読書中はお風呂や寝る前などふとした瞬間にその本の世界のことを考えてしまったり、登場人物にシンクロして一緒に思い悩んだりすることがあるのだが、本作品ではそのようなことはなく、映像作品を見たときのようにその場限りの感情移入しか体験できなかった。 重くなりすぎずに軽く読めるエンタメ小説として最高だと思うので、その時の気分に合わせて手に取ってみて欲しい。 また、個人的には「弱虫ペダル」が好きな方にもオススメしたい。 過酷な長距離をボトルやタスキ等のチームメイトの想いで繋ぐリレー形式の団体戦であり、平地や山での駆け引きなど競技内容からの共通点はもちろん、ユニークなキャラクターを持つ選手が多数おり、各選手の背景や想い、心理描写も描かれている点も類似しているので同じように楽しめると思う。 【以下、本文中の文章記載のため注意】 下巻は特に刺さる言葉が多かったが、浩太の… 『たしかに―世の中には実を結ばない努力もあるだろう。だが、何も生まない努力なんかない―。』 …が堪らなく刺さった。部活動もそうだったが、これまでの人生で、努力が実を結んだことなんて一つあるかないかくらいで、まわり道ばかりの要領が悪い人生だなっと感じることが多かったため、今までの人生を肯定してもらえたように感じて泣けてきた。 隼斗の『これは―これは、俺たちの箱根駅伝だ。』のセリフも、言おうとして言えなかったところも含めて、作品のタイトルがここでくるのか!と感動した。 - 2026年5月28日
俺たちの箱根駅伝 上池井戸潤読み終わった長編作品なのでゆっくり読んで行こうかと思ってたのに、面白すぎて一気読みしてしまった! 恥ずかしながら『半沢直樹』も『下町ロケット』も本はもちろん、ドラマ等のメディア作品含めて全く触れてこなかったため本作が人生初の池井戸潤作品であったが、もっと早く読んでれば良かったと思った。 読みやすい文章なのに、硬めで綺麗な言葉も適切に散りばめられていて、心情や情景描写も丁寧だからまるで漫画やドラマをみてるように映像が浮かんでくるのが凄いと感じた。 上巻は「いよいよこれから」という所で終わっている為、下巻も楽しみ! 作品自体の感想は下巻読了後にまた書きたい。 - 2026年5月26日
黒い睡蓮ミシェル・ビュッシ,平岡敦読み終わったモネ好き、叙述ミステリー好きにはオススメの作品! モネが後期に暮らしていたジヴェルニーの村を舞台とした殺人事件が起こるミステリー作品。 筆者も最初に書いている通り、かなり正確にジヴェルニーの村が描写され、モネの生涯や作品も事実に沿って描かれているため、物語を通してモネについて正確に知ることができる点が魅力。 叙述ミステリーとしても素晴らしく、謎が明かされた時は「ああ!そういうことか!」とビックリして鳥肌がたった。 一方で視点がコロコロ変わる点と、慣れないフランス語の人名かつ同じ人でもファーストネームで書いてあったり、名前の方だったり、役職だったり、渾名みたいなので書かれたりと、なかなか頭の中で人物を一致させることができずに登場人物欄を何度も見返しており、読むのに苦労した。 また独特の皮肉やフランス語での言葉遊びも、本来なら魅力であると思う点だが、馴染みがないため個人的には慣れるまで読みづらかった。 半分過ぎたころから読むのに慣れた点と、物語が加速した点が重なり、凄くのめり込んで、感情移入し過ぎて泣いてしまった。 個人的に読むのに苦労した箇所もあったため、諸手を挙げてオススメとは言えないが、絵画全般やモネ、そしてミステリーが好きな方は機会があったら手に取ってもらいたい。 【以下ネタバレ注意】 個人的には、殺人が起こるミステリー作品で初めてハッピーエンドの作品だったので、思い出に残る作品になった。最初はあまり共感できないなと感じていたのに、いつの間にかそれぞれの時代の主人公に感情移入していて、ラストは一緒に嬉し涙を流してしまった。 また、本作品を半分くらい読んだタイミングでモネ展に足を運び、物語にでてくるモネの作品や実際のジヴェルニーやモネのアトリエの風景を見れたのも、イメージが鮮明になりとても良かった。 本作品『黒い睡蓮』がモネ展での感想に1つの答えをくれた箇所もあった。数々の淡く明るいモネの作品の中で、個人的に心を捕まれ目が離せなくなったのが『死の床のカミーユ』だった。他の絵よりも静かで暗いこの絵に何故惹かれるのかその時は分からなかったが、『黒い睡蓮』の中でこの絵について… 「死が彼女の顔に与える色彩の変化(青、黄色、灰色など)を、本能的かつ機械的に観察し、筆を握って描いてしまった」 …というモネに関する描写があり、愛よりも絵画(光と色彩)を優先してしまうモネの芸術家としての狂気がこんなにも見る人を惹き付けてやまないのだと理解できた。 人生初のモネ展と共に記憶に残る作品となった。 - 2026年5月17日
水車館の殺人 <新装改訂版>綾辻行人読み終わった館シリーズ2作目。前作の『十角館の殺人』とはまた違った読書体験であったが、こちらもまた良い体験であり、改めてミステリーには色々な楽しみ方があるのだと気付かされた。 かなり個人的な話だが、今回はミステリー作品を読んでいて初めて、犯人・トリック・動機が解けた状態で解答編に入ることができ、完璧ではないがほぼほぼ正解することができた! もう眠らなければいけない時間にも関わらず、自分の推理が正しいのか知りたくて…一つずつ解答が示される度に、「あってる!あってる!」と嬉しくなって、ページを捲る手が止まらず結局一気読みしてしまった。 謎が解ける喜びってこういう感じだったのかと人生初めての感覚にしみじみとした。 「名探偵」と言うにはおこがましすぎるが、「探偵」くらいにはなれたんじゃないかなと思える素敵な読書体験であり、思い出に残る作品となった。 【以下、ネタバレ注意】 何も知らずに読んだので、『十角館の殺人』の島田潔が探偵として出てきた時にはビックリしたしテンションが上がった! 最初の主な登場人物で『島田潔⋯招かれざる客』の記載を見ても直ぐに思い出せず、「ん?島田ってなんか聞いたことが…」くらいの感じで、本編に名前がでたタイミングで「ああっ!」ってなってしまった笑 同様に中村青司の名前が出てきた時も、「そう関わってくるのか!?」とまたビックリし、さらにテンションがあがってしてしまった! 館シリーズと言われているが、『館』をモチーフにした本格ミステリーの総称を意味しているだけかと思っていたので、こんな風に繋がりがあるとは思わず、読んでみてサプライズ体験が出来たのは良かった。 過去と現在の視点の行き来も面白かったし、それぞれの視点の『私』が別人と言う点に気づいた時は鳥肌がたった。 ラストに少しの不思議さ…人智を超えた力を残すのも、また作中の雰囲気にピッタリな美しい終わり方だったと思う。 - 2026年5月13日
アリアドネの声井上真偽おすすめ読み終わったおすすめしたい一冊! 特に、ドローンやIT、災害救助もの、殺人事件じゃないミステリーが好きな方にはぜひ読んで欲しい。 300ページ程で、舞台も現代で読みやすい文体なので読書慣れしてない方や時間が無い方もサクッと読めると思う。 序盤から災害救助系のパニックエンタメ作品としてハラハラドキドキする。その中で半分過ぎた辺りから、ある1つの疑惑が生まれて、ミステリーの面も追加される。 終盤では主人公に感情移入しすぎて泣いてしまった! ラストも個人的には想像してなかった結末で驚いたし、読了後もスッキリと爽快な気分になれる。 一冊で様々な感情を味わえ、主人公と共に1つの成長をすることができたように感じられるため、満足度が高い。良い読書体験だった。 一方で、結構詳細にドローンの機能について記載されているように感じたため、IT用語などに抵抗がある場合は読みづらく感じるかも。 ※もちろん各用語は本文中で違和感なく、セリフとして分かりやすく説明されてるから、意味不明な感じにはならない。 【以下、本文の文章を少し記載してるため注意】 中川さんの… 『できる。できそう。できるかも。そう思ったことから、一つずつ。』 『夢は無理して叶えるものじゃない。』 …のセリフが高木と同じように響いた。 大人になると「無理だ」と感じることも多くなってきたが、それは悪いことじゃなく本当に今の自分の限界なのでそれを1度受け止めて、「じゃあ夢や目標のために次に何をする?」と考えて行くことが大事だと理解した。 まだまだ長い人生。これから何歳になってもずっと常に夢や目標を持って、できることから一つずつ挑戦して叶えていきたい! - 2026年5月11日
炎の人ゴッホアーヴィング・ストーン,新庄哲夫まだ読んでる第四章~第五章読了。 親もとに戻ったヌエネン~テオと一緒に暮らしたパリ時代のゴッホ。30歳~34歳までの恋愛と名画「馬鈴薯を食べる人々」の誕生、印象派の若手画家との交流について描かれている。ここまでで600ページちょっと。今回もかなりボリューミーで濃厚だった。 【以下ネタバレ含む】 ヌエネンでは初めてゴッホを本気で好きになってくれた女性マルホットが現れる。お金持ちかつ、ゴッホの仕事も気質も理解してくれる素敵な女性なのに何故かシーンほども彼女を愛せないゴッホ…愛される喜びはあるものの彼女の強烈な愛情にどこか薄ら気味悪さを感じていて、今まで自分がアーシュラやケーに迫って彼女たちが逃げた気持ちが分かった場面では少し笑ってしまった笑 ただ、自分のこれまでの恋愛経験から愛を貰えない辛さは知っているので、彼女に優しくし愛そうと…結婚して共にいようと努力する。 しかし家族の強い反対にあい、結局マルホットは失望からゴッホの傍で服毒自殺をする…ボリナージュでの炭鉱夫たちを看病した経験から何とかマルホットは一命を取り留めるが、マルホットの家族から「ゴッホの せいで彼女は自殺した!」と罵られ、村八分状態になる。心優しいカトリック教会の管理人から部屋を借りれたものの、また飢えと孤独の日々が始まる。 そんな中で農夫のデ・フロート一家と親しくなる。農夫の生活の日々を描くなかでも、評価される作品も自分の中で納得の行く作品も生まれなかった。その矢先、デ・フロート一家で特に親しくしていた十七歳の娘スティーンが妊娠する。カトリック教会の儀式長が相手なのだが、この不祥事を揉み消すために司祭はゴッホを犯人に仕立てようとする…即時ヌエネンを追い出されそうになったが、まだ農民の生活の真髄を描いた作品を生み出せていないため、約一ヶ月の猶予を得る。そこから自分にとっての『晩鐘』を作るため、毎日デ・フロート一家を訪れて制作に当たるねだが、その様子が鬼気迫っていて、時間との戦いもありハラハラドキドキしてかなり引き込まれる! 絵を描きはじめた時のピーテルセン師の言葉が伏線のように効いてきて、「馬鈴薯を食べる人々」が完成した時は感動した。 この絵は昔1度だけ見たことがあったが、その時は色も暗くて所謂ゴッホらしい感じじゃないし、「ふーん」と何となく見てしまっていた。このゴッホの制作の様子を知ったら見え方が変わってくるので、もう一度本物をみたい! そこからパリへ移っての生活は、テオと共にいることもあり、これまでと比べると精神面も肉体面も満たされている感じが強い。最もセザンヌ、ゴーギャン、モネなど印象派の作品に衝撃を受けて自分のこれまでの年月を無駄だったと感じたり、印象派の鮮やかな透明な色を出せず落ち込んだり、自分らしさを見失ったりと挫折は続く。 これらはもちろんだが、その他でもゴッホの感情や行動のフォローで、テオの負担が大きすぎてテオが可哀想になってくる場面が多かった。 アンリ・ルソーやエミール・ゾラなど世界史で出てくる人物も多数出てきて、学生時代に読んでたら唯の人物名と作品の丸暗記に苦しまずに、一人の生きた人物としてリアルに記憶できたなぁと思った。 第五章は登場人物も多く、各々の作品や印象派そのもの、共産主義についての議論も多く、理解し切れてない点もあるように感じるので、また他の作品でこの時代の作品や考え方に触れてから再読したい。 次はいよいよアルル時代なので楽しみ!! - 2026年5月7日
ハサミ男殊能将之読み終わった直近4月~5月で「十角館の殺人」「殺戮にいたる病」と叙述ミステリーの名作を読んできて、少しは叙述ミステリーの心得を持った状態かつ、「絶対に騙されないぞ!」と意気込んで読んだ本作「ハサミ男」だったが…素晴らしく綺麗に騙された!再読したい一冊! 【以下ネタバレはしてないが、全く何の情報もなく読みたい方は注意】 全体を通して引き込まれる内容だったが、特に全体の半分過ぎたくらい、第四章くらいから加速度的に面白くなって、途中で読むのを辞めなきゃ行けないタイミングでも中々ページを捲る手を止められなかった。 終盤の第十一章辺りで、「まだ100ページ以上もあるし…」と気を抜いて読んでたら、いきなり「ええっ?!」と言う状態になり…さらにそこから怒涛の「ええっ?!ええっ?!」という驚きの状態が続く。 異なる視点で複合的に描かれている作品だが、最後の真相が分かる箇所では、違和感があったセリフや行動が全て繋がってスッキリした。 ラストは少しゾッとするような読者の想像を掻き立てる終わり方で、個人的には鳥肌がたった。 音楽、絵画、文学などからたくさんの引用があり、引用元の作品を知る事でもっと深く本作の世界に浸れると思うので、再読する際は引用箇所しっかりメモして元作品にも触れたい。 本編ストーリーが気になり過ぎて、読むのを優先してしまい、メモも取り忘れたし全然調べられてない笑 今絵画に興味があるため、ジョヴァンニ・セガンティーニの「淫蕩の罪」だけ先に調べて見てみたが、綺麗だが冷たく、どこか不気味になのに、何故か惹かれて目が離せなくなる作品だった。 『堕胎を犯した女性たちの罪と救済を描いている』との説明を知り、「なるほどな」と納得した。 - 2026年5月6日
おしいれのぼうけん古田足日,田畑精一児童書絵本読み聞かせはじめて最後までしっかり聴けた記念投稿。 私自身も幼少期に読んでいて思い出のある本。 怖いシーンが多いため、なるべく怖くならないように平坦に読みつつも、お互いを励ましあいながら冒険するあきらとさとしのセリフは読みながらもハラハラドキドキして感情が入ってしまう。 絵本にしては長く児童書寄りで、本来は5歳頃からの読み聞かせが適しているようなので、まだかなり早い今の年齢で最後まで通しで聴けたのは凄いと思う。面白かったと言ってもらえて良かった。 自分が子供の時は「怖いな」「みずの先生酷いな」って感想しか残ってなかったけど、今改めて読むとまた別の感想も感じられて面白い。 まだ若くて保育士としての経験が浅いみずの先生なりに、ちゃんと躾なきゃとの考えから、やり方は良くないけど押し入れに閉じ込めて反省させるという手段をとっていることが読み取れるし、ラストでは先生も謝っていて以降は「おしいれ」も「ねずみばあさん」も怖いものから楽しいものに変わっているから、冒険をした子供たちはもちろん、先生側の成長も感じられた。 - 2026年5月4日
炎の人ゴッホアーヴィング・ストーン,新庄哲夫まだ読んでる第二章~第三章読了。 親もとで絵を描き始めたエッテン~ハーグ時代のゴッホ。27歳~30歳までの修行時代と恋愛について描かれている。ここまでで400ページちょっとで、全体の半分くらい。 【以下ネタバレ含む】 エッテン時代は鉛筆でのスケッチがメイン。 中々上手くいかず、周りから理解も評価もされない。そんな中で従姉妹で未亡人のケーに激しく恋をする。 激しい形相で追い回して愛を語ったり、「君は絶対に僕を好きになる」と断言していたり、相変わらず女性へのアプローチ方法が少し怖い。 1番怖かったのは、ケーの実家のアムステルダムまで追いかけていき父親から会うことを拒否された際に、燭台に左手をかざして「この火に耐えられた時間だけでも話をさせて欲しい」と言って、左手に穴が空くくらい火傷するシーン。 ハーグでは画家で義理の従兄弟のマウフェを師匠に絵を学んでいく。水彩画の色を作るのが難しいというシーンで…当たり前だけど今よりも絵の具の質は良くなく、求める色を作るのが今よりも断然難しかったからより素晴らしい絵に価値があるんだよなぁ、と個人的にハッとさせられた。 またマウフェについてはこの本で初めて知ったが、作中に最高傑作としてでてくる「浜辺の漁船」も素晴らしかったのだが、個人的には描かれた時期は違うが「浜辺の朝の乗馬」と「羊飼いと羊の群れ」が好きだった。 絵に取り組む中で少しずつ自分でも成長を感じ、一部の人からの評価されはじめる。やっと報われるか…というときに、ハーグに来てから出会い友人になっていた娼婦のシーンの命が危ないことを知る。 シーンは父親の違う五人の子供とお腹に誰の子かわからない子がいる。お腹の子が逆子でこのままじゃ母子ともに命がないと知り、友情から愛情に変わっていたゴッホはシーンの手術代を出し、結婚を決意する。 入籍はしていないものの、シーンとの身分違いの結婚は周囲の理解を得られず、評価してくれた人たちも師匠も離れていき孤立していく。 また水彩画から厚塗りの油絵に変わっていたため画材へのお金もかかり、困窮を増していく。 ボリナージュに続きまたも飢えて熱に犯され苦しむゴッホの姿に胸が痛くなる…でもその苦しみを全て絵の制作に現していく姿に感動もする。 最終的にシーンも離れていき、望んだ家族の暖かさはつかの間で、また孤独になってしまったゴッホ。 安らぎを求め、現在の両親の赴任先であるヌエネンへ向かうところで終わっているため、次は飢えることなく穏やかに絵に集中出来てて欲しい。 - 2026年5月1日
君のクイズ小川哲読み終わった読みやすい文体で、200ページ弱くらいなのでサクッと読める。 QuizKnockも時々見ているので、白瀬矗がでて来た時には思わずクスリとしてしまった笑 物を記憶するには単純にその物を記憶しているのではなく、自分の体験やその時の感情と関連付けて記憶している…つまりクイズは自分の人生を問われていて、その自分の問題に正解した時に人生を肯定されたように感じる。特に辛く苦しい経験は「そんなことが無ければ良かったのに」と自分で否定してしまいがちだが、その辛い経験があったから答えられたクイズがあり、答えられて正解した瞬間に「あの時の苦しさ辛さは間違ってなかったんだ!」と自分の人生を認められる。 クイズプレイヤーがみんなそんな風に感じるわけじゃないのかもしれないけど、失敗したことや辛かったこと消してしまいたいような体験でも、それがなければ正解できなかった問題が確かにあって…苦しみが昇華され今の正解に繋がる感覚が、人生を肯定してくれる感覚が、クイズから得られるのだとしたらクイズプレイヤーを目指してみたくなる気持ちが分かるなと感じた。 【以下ネタバレ含む】 ラストで本庄絆がクイズで成功者になるために、ビジネスのために『ママ.クリーニング小野寺よ』をゼロ読み正答したことが判明するが、個人的にはその前の半分嘘の真相の方が好きだったし、共感できた。 それこそが主人公と同じように「本庄絆」という偶像を私が勝手に作り上げた結果、または三島に感情移入し過ぎた結果なのかもしれないが、なんとも後味が悪く、腑に落ちない。私は三島と違ってクイズプレイヤーじゃないからクイズのために「恥ずかしい」という感情を綺麗さっぱり捨てたみたいに、「本庄絆」を綺麗さっぱり忘れることは出来ないから、ずっと砂を噛んだみたいな感情が残り続ける。 これも私(読者)にとっての一瞬の『熊の場所』になるのかもしれない。そこまで狙って書いてるのなら本当に凄いと思いつつ、やっぱりスッキリ終わって欲しかったなぁとも勝手ながら思ってしまう。 - 2026年4月30日
炎の人ゴッホアーヴィング・ストーン,新庄哲夫まだ読んでる序曲~第一章読了。 ロンドンからボリナージュ時代のゴッホ。21歳~27歳までの生き様が描かれていて、これだけでも小説1冊読み切ったかのような分量&濃厚さだった。 初めての失恋から画商としての失敗、牧師を目指して勉学での挫折、伝道師として認められず、やっと仮の伝道師の地位に着いても炭鉱夫たちの貧しく苦しい生活を変えられず神がいないことに気づき絶望。 そんな絶望からスケッチをしていくことで再度生きる力を見出していくところまで描かれていた。 難しい性格の人だったんだなと思いつつも、ひとつの事にいつも全力で何者かになるために必死で足掻いてる姿に感動する。 好きな人を一目見るために自由になる全ての時間を費やしたり、勉強では1日18時間~20時間の努力をしたり、貧しい炭鉱夫を本当の意味で救うために自分の持つ全てを捧げて同じく貧しくボロボロになりながら他者を助けたり…いつも全力で心も身体もボロボロになりながらも何も大成できない…読んでて苦しかった。 ファン・ゴッホ家が一族全員優秀だから、より卑屈になってしまう面もあるように感じた。 弟のテオの理解と親愛を得て、画家になることに希望を見出したところで終わってるので、これからどのような人生を生きていくのか楽しみ。 - 2026年4月26日
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