
天果
@melon-rice
2025年3月23日

夜市
恒川光太郎
買った
かつて読んだ
読み返した
フォロワーの方が挙げてらしたので、久々に読み返し。本書では、表題作もさることながら、書き下ろしの収録作「風の古道」が好きだ。
ひとならぬものたちが行き来する古道に入り込んだ少年の語りで展開する物語で、心細さ、奇妙さ、そしてわくわく感が絶妙に混ざり合った雰囲気が、なんかこう、怪しげなる想像を喚起してくれる。
シーンとしては古道の途中にある茶店で一夜を過ごすくだりが好くて、異界での修学旅行の夜みたいな感じがたまらない。もっとここを膨らませて書いてほしいくらいだ。
終わりはどこか、ウェルズの「塀にある扉」にもかすかに通じるような香りで、豊かな寂しさがある。

