
無重力くらげ
@NoGravityJelly
2026年6月5日
どこの家にも怖いものはいる
三津田信三
読み終わった
どことなく似ている怪談を見つけた小説家と編集者。完璧に同じというわけではないものの、何か繋がりがあるような気がしてならない2人は、類似する話が他にもないか探しつつ、怪異の正体を探る。
SNSで怖いと評されていたので期待して読んだ。5つの怪談はおもしろかった。特に一番最初の『向こうから来る 母親の日記』はドキドキしながら読んだ。
しかし怪談の登場人物の行動が不自然な点がいくつかあった。『光子の家を訪れて 三女の原稿』では、主人公の沙緒梨は弟を助けるために単身光子の家へ忍び込み、息が詰まるほどの恐怖に震えているはずなのにカップラーメンをすすりシャワーを浴びている。
加えて、5つの怪談の共通点さがし及び怪異の正体の推理パートは少し強引に感じた。例えば『向こうから来る 母親の日記』で世智(怪異)が自身を「キヨ」と名乗ったのはなぜかという問いに対する答え。「世智はしばらくの間名無しだったが当主の都合で世智の名を受けた。そんな名前に愛着があるはずがない。だから咄嗟に母親の亀代子の名を言った」という回答なのだが、これには納得できない。亀代子は産後に体力が回復しだい精神病院に入れられていて、その後は不明となっている。世智は名付けられないまま蔵の中で女中に育てられた。つまり世智と亀代子はほとんど接点がなかったはずだ。それなのに名前を聞かれて咄嗟に母親の名前が出るだろうか。
怪談の内容はおもしろかったのに、細かいところに違和感があった。全体的にはおもしろかったけど、ちょっと期待しすぎたかな、というような印象だった。
