
イツキ
@maruitsuki
2026年6月5日
エピクロスの処方箋
夏川草介
読み終わった
この小説で描かれる医療は、奇跡を起こすものではない。むしろ、医療の無力さが何度も語られる。病気は治せないかもしれない。降り続く雨を止めることはできないかもしれない。それでも傘をさすことはできる。暗い夜道に灯をともすことはできる。その程度のことかもしれない、と哲郎先生は言うけれど、その「その程度」がどれほど人を支えるのかを、この物語は丁寧に描いていた。
世界は理不尽で、悲しいことも多い。それでも、足下には小さな幸福や希望が埋もれている。そこに気づけるかどうかを、この小説は静かに問いかけてくる。



