
路傍のクロワッサン
@bear-jew
2026年6月6日
オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー,
山本やよい
読み終わった
今年の3月頃に初めてのクリスティー体験となった『そして誰もいなくなった(新訳)』を読了し、彼女のストーリーテラーとしての才能を今更ながら実感。
その流れで、不朽の名作と名高いこちらにも手を伸ばしてみました。
残念ながら生きているうちにネタバレを避けることはできず、真相を知ってしまっている状態で読んだわけですが、それでも十分楽しく読みことができました。
国籍問わず種々雑多な人々が集まる国際列車、不運にも雪の影響でクローズドな空間へと変貌。
この状況づくりの段階からすでに面白い!
基本的に視点は名探偵〈ポワロ〉に定着していますが、〈ブーク〉と〈コンスタンティン〉という読者の代わりとなって疑問を呈示する存在がいてくれるお陰で、物語に没入しやすくなっているところも上手いです(一緒に謎に挑んでいる気分になります)。
不可思議な殺人事件はやがて、「法の脆弱性」、「正義の所在」というテーマへと収斂し、見事なラストへ着地。
確かな読後感に浸れる傑作でした。
《個人的メモ》
最も感嘆した箇所は、p19のポワロを見送るフランス軍中尉〈デュボスク〉の視点から、流れるように〈メアリ・デブナム〉の視点へと移行するトランジション!
この映像的な描写力、さすがクリスティー先生です。



