とろたく "時をかけるゆとり" 2026年6月6日

とろたく
とろたく
@takutsuna
2026年6月6日
時をかけるゆとり
著者が直木賞を受賞した後に記した自伝的エッセイ(ルーレットの目)が収録されており、その一節が印象的だった。著者が幼少期に好きだった人生ゲームに準えて、直木賞を受賞した後の瞬間にどんな思いを持ったのか振り返る箇所である。 「私の会見はきっと、私の人生をきれいに片付けるにはもってこいの場面だ。あの瞬間の私は『若くして直木賞を受賞した人』として美しい額に収められはするだろうが、その一秒後からも、私は生きていかなくてはならない。 『あがり』なんて、どこにもない。どんなマスに止まることになろうと、もうそこに数字なんて書かれていないように見えても、私はルーレットを回し続けなければならない。」 どんな偉業を成した人も、ご飯を食べ、風呂に入り、歯を磨いて寝る。1人の人間として日々の暮らしを持っている。 何かを達成したらそこで終わりではない。死ぬまで生きなければならない。当たり前すぎる現実だからこそ、意識から消し去ってしまっていることを思い起こされ、日々を謙虚に生きようと思われる箇所であった。 なお、著者はカッコつけスカした文章として自虐的にこちらを掲載しており、文庫本解説の光原さんは、病院の検査待ちでも気兼ねなく読めるコミカルなお話として称賛している。
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