きょーこ "月ぬ走いや、馬ぬ走い" 2026年6月6日

きょーこ
きょーこ
@kyo-kom
2026年6月6日
月ぬ走いや、馬ぬ走い
現代小説と時代小説の狭間にいるような、不思議な読み味の本。 戦後の沖縄から現代の沖縄を、14人の視点を通して覗き見ていく話なのだけど、読者の共感や理解を促したり読み手の快感作るような分かりやすい構成や演出をしない、その剥き出しな感じが個人的にすごく好き。 正直よく分からない部分も沢山あるし、読みづらい。けれど、「その人(登場人物)が見て感じた記憶をそのまま差し出す」というような荒っぽさや(物語としての)違和感、読み手に易しくない描写や展開が、それぞれの記憶の断片をこちらにリアルに感じ取らせてくれたように思う。過去にあった出来事や、歴史として語られる話の奥にあるのは、その時間を生きた人たちの人生の集まりで、本来はこういうふうにバラバラで繋がってたり繋がってなかったりする、混沌としたものなんだなとハッとさせられた。 時代も性別も感情も全然違う人たちによる言葉の連なりには、解らないところも共感できないところも沢山ある。けれどその中に感じ取れるものもちゃんとあって、読んでいて心を揺さぶられた。切なかったし、胸が苦しくなった。そして解らなさも不快感も含めて「良い読書だった」としみじみ思う、自分にとっては貴重な一冊。 読後の余韻が深くて重くて、一晩経ってもふとした拍子に思い出してなんとも言えない気持ちになる。 クセがかなり強い重たい話だけど、たくさんの人に読まれて欲しいとも思う。
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