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@bunkobonsuki
2026年6月7日
テーマパーク化する地球
東浩紀
『テーマパーク化する地球』は、東浩紀が2010年代に展開したエッセイ・評論・対談を集めた本である。
表題の『テーマパーク化する地球』では、中国の都市・大連を訪れたことをきっかけに、なぜ都市がテーマパーク的な要素を取り入れたのか、その必要性を考察する。
後の著作『平和と愚かさ』と本書をセットで読むと、内容の乖離に驚く。本書では「忘れない」がテーマになっているのに、『平和と愚かさ』では「忘れること」がテーマとなっている。
二つの著作を読み比べてみて、私は「ほどよく記憶するというのが平和に必要なのではないか」という、消極的な態度に至った。
例えば新海誠の『すずめの戸締り』では3.11の出来事が出てくる。しかし、それはさらりと出てくる。あの映画を観た私は「ああ、あった」という感情に満たされた。
当時の私にとって3.11は半ば歴史であった。体験はしたが、どんな体験であったか、断片的な光景を覚えている程度だった。そんな半歴史的体験を、確かな体験として呼び戻されたのである。
東浩紀の語る『平和と愚かさ』では戦争を主題としているので、災害を扱った『すずめの戸締り』の手法が適用できるとは限らない。
しかし、「ほどよく記憶する」という点で『すずめの戸締り』のような作品はもっと注目されるべきではないかと思う。
