土井陽音 "文庫 坂の途中の家" 2026年6月7日

文庫 坂の途中の家
小さな娘を持つ主人公は、ある日突然刑事裁判の補充裁判員に選ばれる。事件は、主人公と同じく乳児を持つ母親が、子を風呂に沈めて溺死させたことであり、その量刑について巡る。ストーリーは、裁判所における審理や判決の過程と、主人公の日常生活を交互に語る構成。母親との関係や旦那との関係がうまくいってない姿が被告人と重なる。被告人は、旦那から直接的ではないにしろ、間接的な攻撃によって精神的に追い詰められていたと主張する。しかし、裁判所において誰にも認められない。主人公は、自らが同じ状況にあるため、必死にみんなに訴えるが、通じない。人は、無自覚のうちに側から羽ばたこうとする身近な人を押さえ込もうとするのではないか。自信を損なわせることによって保持しようとしているのではないか。それは、嫌いなのではなくて愛なのではないか。
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