
てるふぉん
@ANKAKEYAKISOBA
2026年6月7日
タイム・アフター・タイム
吉田修一
読み終わった
帯と装丁の美しさに惹かれて購入しました。
昨年「国宝」を観に行って面白い!と映画で大満足し、当時は小説を読む勢いに至らない私の読書熱が無かったし、映画の中の感想と私の解釈で収まってました。
売り場で ああ、「国宝」の著者さんか、と上記の過去を思い返し、ひとつの専門書のような辞書のような約530ページを読み切れた時はどうなるのかと期待をしました。
読了して、今の時間軸と昔の時間軸と何度も何度も行き来することで登場人物の人となりであったり思考に深みを増していく読み進め方が良かったです。
純粋無垢な二人の恋愛に相手しか見えない真っ直ぐさやその危うさも十八歳を超えて読んでいるから懐かしく感じて、愛おしいと感じました。
十八歳、十九歳の大人なのか子供なのか中途半端な年齢は、本人に降り注ぐ事件や人からの遠慮や言葉を背負い込み過ぎてどんどん生きづらくなって呼吸が浅くなる生き方になってしまう。だから安心して深呼吸ができるように、安全で自由な場所を探していったんだろう。ただ、尾崎と久遠がいつまでも死ぬまでずっとと、最初は自由でもどんどん視野は狭くなってまた生きづらく、結局は戻ってしまう。
だから過去を見ていると心配いらない黄金のままの二人じゃないかと思っても、所詮は十八年しか生きていない子供だから、目の前の明日を生きる方法に無我夢中になるし、大人からは未熟だと言われてしまうのは、人の立場や思い込みから他人へぶつける攻撃って言った本人には気づかないくらい、当事者には精神的に傷ついてしまうと思う。
久遠が尾崎と離れて現在に至るまでの二十年間を振り返る一文が添えられている年賀状には、尾崎と離れたからこそ久遠の人生を彩っているんだと思い返したとき、久遠の眩い人生のハイライトに一生懸命さを感じました。何も無い人生なんてないと思いました。
終盤にかけてどんどん尾崎の凪のような雰囲気から尾崎も人である心の不安定さがみえる描写に各章読む事に一回本を閉じてぐーっと心に落とし込む時間が必要で、だけど、二人がくっついたり離れたりもどかしい付き合い方が将来未来への答え合わせのように良い巡り合っている描写でじんわりと心があったかくなりました。
出会って手に取って読むことができて良かった。









