
🔖ぼう|読書記録
@book_25
2026年6月6日
タイム・アフター・タイム
吉田修一
読み終わった
夏が来るたび、海を見るたびにきっとこの物語を思い出してしまう。
手に取ったときは読み切れるか不安だった本の厚さを感じないくらい、あっという間に読み終わってしまい、読了後は「あぁ、終わってしまった。」と思いつつ、何かを駆け抜けたような、そんなすっきりとした気持ちが残りました。
この人さえいればいいと想える眩しすぎて、それゆえに危うい初恋と、ままならなさを抱えながらそれでも前を向かなきゃならない大人になった現在の2人を交互に描いている作品。
現実でこんなことをしてしまったら馬鹿にされて笑われるかもしれないし、2人みたいにその後の人生を物語みたいにいい方向に進められないだろうと思いつつ、あぁこんなに必死に生きている人ってなんて美しいのだろうと胸がきゅっとしました。
印象的なシーンがたくさんあるなかで、大人になった久遠が沖縄で恩人であるチャンプと再開して、これまでやりとりした年賀状をみる場面では思わず涙が出てしまいました。
あのとき長崎に戻らず沖縄に残るという選択も、その後愛する人と離れて戻ったという選択も、なにも間違っていなかったんだと。
「私の人生、これでよかったのかな」という不安を、過去の自分が残してきた言葉が取り去ってくれる、そんな言葉の力ってすごいなぁとじーんとしてしまいます。
未熟な2人がした選択は、たくさんの人に迷惑をかけたかもしれない。
もっと賢く生きて、もっと近道ができる選択があったのかもしれない。
それでも、2人がそれぞれ選ぶ道を、人生を、自分自身で正解にしていく逞しさに勇気をもらえる作品でした。



