
紫香楽
@sgrk
2026年6月8日
コンビニ人間
村田沙耶香
読み終わった
世界99が初読で、村田さん二冊目。短かったので読んでみた。
こっちの主人公も世界99に近い、自我の薄い、強烈な「これがやりたい!」「これは絶対やりたくない!」みたいなのがほぼない(珍しい)タイプのASD主人公だった。
周囲にいる人に影響され合い取り込み合って振る舞いが作られるところとかは世界99にも近く、この作品のそのへんの要素が煮詰められて世界99が描かれたのかな〜と思った。
ASDだな〜と思いながら読んだんだけど、「ASDだ」というラベリングがされてしまうと「ASDだから」という「正解」ができてしまい、「だからこの人はこうなのか〜」と読者が納得して終わってしまうから避けられているんだと思う。(実際ASDではあると思うけどこのタイプはASDの中でも珍しい方だと思うので「ASDはこうなんだ」とかは思ってほしくない)
世界99でもそうだけど「この人はこうなのはこうだからなんだ」という理由づけの必要なく普通でないことを受け入れてくれてもいいのにねといったことなのかな〜と思う。
私は「普通」の擬態ができず、したくもないし、あまりする気もないんだけど、村田さんの主人公はあまり我がないばかりに「普通の人たち」に囲まれていて大変そうだなと思うんだけど、結局私はああいう「普通」を当たり前に強制してくる人間が世の中に多数であることを知っていて、そうした多数の「普通」の人間たちとの関わりを絶って暮らしているだけなので、村田さんがこうして「あなたたちの思う『普通』ってなんなんですか? 『普通』じゃない人間は排除してるんですか? それっておかしくないですか?」というような小説を書いてくれているのは「普通」を当たり前にしている人々への啓蒙としては有り難いことだと思う。
定型の人にわかってもらいたい!みたいな気持ち自分はもう失ってしまった。分かって頂けないと社会構造とか色々変わらないから困るんですけどね。
ASD/ADHDの人間なんて昔からずっと10%くらいいるのに、未だに受け入れも想定もできてないし使いこなせてもない人間社会って未熟で非効率的でウケるな…って感じの認識だ、今は。
村田さんの小説は非定型主人公だけど定型にめちゃくちゃ迎合しようとするタイプだから大衆ウケしてるんだろうな〜と思う。
うーんそう思うとやっぱムカつくな… もうどうやっても定型の無知と傲慢と定型中心社会さには非定型としてムカついてしまう。
こういう線引きするのもダメだなとは思うんだけど、まあ最初に線引いてきてるのは定型の人たちだしな……
私はコンビニ仕事も向いていないけど、私も三十代のふらふらしていて結婚する気も恋人もなく社会の「普通」の押し付けってうぜーなと思っている人間なので(世界99に比べると)身近な話で好きだった。
あと日本の「労働」というものの人格を捨てたただの部品を求める気持ち悪さを描いているところがいいと思う。クソ気持ち悪いよねと常々思っているので。





