
オケタニ
@oketani887
2025年3月23日

いい音がする文章
高橋久美子
読んでる
・名著の予想がぶんぶんする。文章論の切り口で"いい音"というのも良い。目的じゃなく効果の面で、しかも五感絡みだとハードルも低く感じる。
・切り口もだが文章も良い。一章終わりのコラムで「こころ」の一文をひいた感想の中に、「開きそうで開かないカーテンのよう」とあって、痺れてしまった。「高校生にも理解できる言葉で、手の届かない深い場所を握られる感じ」の後にくるカーテン。画を想像してもぴったりだし、単に喩えとしても素晴らしい。
・よく引用を用いて論を展開するテクストがあるが、引用部分を飛ばして読む人も多いと思う。だけどこのコラムはつい読んでしまう。それは引用される目的が情報共有じゃなくリスニングパーティだからだ。し、最後吉本ばななを引いて「地の文が美しいと、たとえ抜粋だとしても、色褪せることがないんだなと思った」とある。この定義付け、ここまで読ませた読者の心を拓く誠実さ、何よりあなたの文章からいい音がしている。
と、たったの一章で感動してしまっている。
・第二章。絵本や小唄を例に言葉とリズムが原初的なものだとみせる。オノマトペや繰り返し、文字の調子からして、確かに子供の頃最初に言葉と肩を組んでいたのはリズムだ。
・福音館書店の松井さん「絵本とは何か」にも惹かれる。一方的に話しかける動画が果たしていいリズムかというと決してそうではない、という理屈が一番しっくりきたのはこの本かもしれない。リズムが大事なんだ、というのはアンパンマンがまず幼児が発音しやすい六文字だと示す本において決定力がデカい。
・日本特有のビートとして7・5調の考察に移る。早く読みたい続きを。
