
雨
@ametrine
2026年6月8日
丕緒の鳥 十二国記
小野不由美
読み終わった
この巻かなり好きだ!民衆の物語なのでぐっと共感できるし、その切実さが心に迫る。ちょい役の市民にもそれぞれ確かに彼らの人生があるんだよなと思わされた。
とにかく今日をどうやって生き抜くかということに必死な人、身近な人だけでも守れたらと手を差し伸べる人、国の荒廃を憂えて必死でもがく人など、王の治世の裏で一市民たちが何を考えどう生きているかがこの巻で見られて、この世界がより鮮明になった。
「あの王のあの令のせいでこんなことが…!?」「あの時期のあの国はこんなことに…!?」という感じで、今までの巻にさらりと触れられていた内容が繋がっているのも良い。
以下個別の感想。
・丕緒の鳥
儀式がとにかく美しい!
王に想いが伝わったシーンでは安堵から思わず深い息を吐いた。託せる王がいるというのはこんなにも未来に希望が持てるものなんだな。
・落照の獄
倫理観が欠如した凶悪殺人犯に対して死刑を!と求める声も、死刑にしてなんになる、という声もどちらも理解できる。
判決によっては国の治安維持に大きく関わるうえに、王自体がこの件に(というか国そのものに?)興味を失くしているのがしんどい。悔しいね。
・青条の蘭
山毛欅の病気は傾国の兆しだ、国に危機が迫っている、ということが最初包荒以外にはあまりピンと来ておらず、のちに状況が悪化する中でも市井の人々には伝わり切らないのがリアルで怖い。
標仲の手から離れた苗。「なんだかよくわからないが、これが国を救うなら」と詳しい事情もわからないまま、それでも何人もの人が協力をし希望を繋いでいくシーンに感動。人の心が生きていることが何よりも大事だと思った。
・風信
安全なところにいると外の災厄のことを忘れてしまう、というのは仕方のない部分もあると思う。常に外の嵐を憂えていたら心が壊れてしまう。
蓮花は自分を責め、また呑気に研究に没頭する(ように見える)嘉慶たちを責めたけど、嘉慶たちは国のため自らにできることを粛々と行っていたんだよね。「じきにいい時代が来ますから」の言葉にやっと泣けた蓮花が、心を癒すことができるようになればいいな。




