704h "柿の種" 2026年6月9日

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2026年6月9日
柿の種
柿の種
寺田寅彦
読み終えた。 物理学者である寺田寅彦の短文集。随筆でもなく短文。随筆は読者のために文章の装いが必要になるが、本書は日々過ごす中で起こった正直な思いが綴られている。時代を感じるところもあるし、いつの時代も変わらないと思わせるところもあり、人間というのは変えられないのだとしみじみと感じた。 読み始めは語り口が小気味良く、楽しく読んでいたが、中盤からの関東大震災、著者の病状、戦争の気配と段々に影が濃くなっていく。科学を職業としながら、俳句を愛し、人間的な心情を愛した人生の哀愁が滲んでいて少し切なくなってしまった。 随筆の名手と呼ばれるだけあって、文章がとても良い。書きすぎない、説明しすぎない引き算の巧さが文章を魅力的にしていると思う。こんな風に情景を書けるようになりたい。
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