Haruhito "ナナメの夕暮れ (文春文庫)" 2026年6月9日

ナナメの夕暮れ (文春文庫)
30代にして、ようやく社会や他者をナナメに見てしまう自意識との訣別を果たす著者のエッセイ。 最初の一編から、『「自分探し」と「社会探し」をしなければ、「生き辛さ」は死ぬまで解消されない』とあるように、厭世的な価値観を持っていながらも、人生を肯定するためには自分を理解し、変化すること必要であると著者は看破している。若い頃はばかにしていたゴルフを始め、「試すことは楽しい。ミスするために来ている」とプライドの高い自意識に揺さぶりをかけ、外国に自分探しに行っては社会のあり様を、自分の小ささを認識して、時に自論を改める。 素直に自分の臆病さや卑屈さを認め、自己変革を促していく様子は、そこらの自己啓発本にはない説得力を感じさせる。 そうして、与えられるよりも与える立場、大人へとなっていく著者のひたむきさに勇気をもらえた気がした。 以下、印象に残った文。 ・だから、今日をずっと楽しめなかったんだ。今日じゃないな、今だな、もっといえばこの一瞬を楽しく生きてこられなかったんだ。37年もね。「今日の自分は本当の自分じゃない。自分というのはもっと高尚な人間なんだ」と言い訳(逃避)して今日の自分をないがしろにしてきたんだ。 ・誰かに”みっともない”と思われることが、怖くて仕方がないのである。そうなると、自分が好きなことも、他人の目が気になって思いっきり楽しむことができなくなってしまう。それが行き着く先は「あれ?生きてて全然楽しくない」である。他人への否定的な視線は、時間差で必ず自分に返ってきて、人生の楽しみを奪う。 ・エネルギーを”上”に向けられなくなったら終わりではない。”正面”に向ける方が、全然奥が深いのかもしれないと思えたのだ。
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