狗飼茘枝 "海と毒薬" 2026年6月9日

狗飼茘枝
狗飼茘枝
@R_Inukay
2026年6月9日
海と毒薬
海と毒薬
遠藤周作
またも読んでいる途中の2冊を差し置いて読み始め、さっと読了してしまった。 決してその2冊が面白くないわけではないんですよ。 まぁでも、こういうこともあるよね。 ミステリー疲れしたのかな、純文学その2ということで。 ※以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。 戦時中の九州で実際に発生した事件ということで、題材はなかなかどうして重苦しいものだった。 よくこの題材を取り扱ったな、遠藤周作さん。 こういう重苦しいテーマ・題材はすごく好きなのだが、個人的に今回は登場人物がとにかく好きだった。 勝呂・戸田・上田という生体解剖の現場に居合わせた3名の、種類の異なる葛藤・苦悩が見事に描かれていた。 本作が名著とされている(実際に名著だと思った)ということは、誰しも3名のいずれかに共感できる部分があるということだろう。 私は特に、一般論や所謂常識と自身の考えの乖離に困惑する戸田に共感する部分が多かった。 共感などという生易しいものを常々軽蔑しつつ、ある種の過激な思想が心の奥底に存在する自分を恥じているような。 (とはいえ実際に現場に居たら、勝呂のように腰を抜かしてしまうのだろうと思うけど)
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