
euy
@euy
2026年6月9日

北條民雄 小説随筆書簡集
北條民雄
読んでる
未読の随筆を読んだ。「発病」「発病した頃」「猫料理」「柊の垣のうちから」「烙印をおされて」。いずれも大変よかった。未完の作品もけっこうあったが、書きかけの部分だけでも素晴らしかった。
特に「発病」は、ハンセン病の診断を受けた頃のことが書かれてるのだが、めちゃくちゃリアリティがあった。病名を言われても淡々と落ち着いて反応できていて、でも実は胸の奥底には真っ黒な絶望と限りない悲哀がある、っていう。「なんでもない、なんでもない、俺はへこたれやしない」とつぶやいたり、海辺で「ああ俺はどこかへ行きたいなあ」と口走ったりというのが、力強くて、脆くて、切なくて、泣ける。重い病気になった多くの人が経験することではあるが(自分も全然レベルはちがうが持病があるので、非常に共感できた)、でもそれをここまでしっかり言語化できて、そしてここまで美しく力強く描けるのか、ということに驚く。

