エピローグ "コンビニ人間 (文春文庫)" 2026年6月10日

コンビニ人間 (文春文庫)
普通がわからないから皆を真似て、皆が喜ぶ行為を選択する。恵子は普通ではない"感性"を持つ人間として物語が進んでいくが、果たしてこれは異常だろうか? 皆、大なり小なり相手の求めている『私像』を演じながら生きているのではないだろうか。 普通とは何か、私らしさとは何かを迷いながら生きていく。知らずのうちに周囲の影響を受けている。それは当たり前のことではないだろうか。 恵子と白羽はいずれも社会に適合できていない存在として描かれているが、この2人の考え方もまた異なる。 自分の立場を自覚できないものの、周囲の求める行動を取ろうと取り繕う恵子。 自分の立場を受け入れられず、周囲の求める理想像から現実逃避し、行動を変えられない白羽。 2人とも世間から浮いてる存在、小説の言葉を借りると『異物』として登場するが、似て非なる存在として多様性を示唆する歪んだ鏡ともいえる。 36歳、未婚、コンビニアルバイトという属性は果たして『普通でない』と捉えられるのか。 人生におけるマニュアルとして、大学を出て就職して結婚して子供を産む。それが出来ないと『何故?』と理由を聞かれる。理由に応えられなければ『変わってる』と判断される。『変わってる』と判断されれば排除されてしまう。だからマニュアルに沿って生きていく。 これは小説の中の話だけでない。 多様性を認めるべきと叫ばれる中、多様性が認められない現実がある令和にこそ読みたい一冊だと感じた。 ........... 『皆が不思議がる部分を、自分の人生から消去していく。それが治るということなのかもしれない。ここ二週間で14回、「何で結婚しないの?」と言われた。「何でアルバイトなの?」は12回だ。とりあえず、いわれた回数が多いものから消去していってみようと思った。』
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