
巽
@Tatumi
2026年6月10日

空庭: 歌集
黒瀬珂瀾
読み終わった
ニューヨーカーが住む場所ゆゑにニューヨーク 冬晴れに輝ける冬空
おおここに高々と「無」が聳えをりグラウンド・ゼロ風吹くばかり
冬の朝鎖されて舌からめあふくちづけをやめないで、おとうと
われら組織にあるゆゑ命より重き掟の舌に舐めつくされつ
捨てられぬ夢のため捨て去りしもの多くて春に狂ひ咲く百合
女から男に残すことづての花洋として海桐花(そびら)がひかる
ああ僕を誰の代はりにして君は抱かるる朝の葉月の荔枝(れいし)
夏至の雨きらめき他人のものとなる悲しみをわが解放として
常福の最果てとして醬標窓を目に描きつつ手を放すかな
人ら等しくとらはれとしてひとやなる星にゐてまた星を眺めつ
男は殺せ女は奪へとぞ声の響く寝起きは耳を押さへて