K.K. "虐殺器官新版" 2026年6月10日

K.K.
@honnranu
2026年6月10日
虐殺器官新版
虐殺器官新版
伊藤計劃
前情報は、過去にアニメ映画を観る。2009年に文庫化されたものに、円城氏と伊藤氏の対談を巻末収録したバージョンがこの新版らしい。 アメリカの特務部隊所属の主人公は、世界各地で武装勢力の指導者を暗殺している。いくつかの紛争地帯で虐殺を目撃しているうち、ジョン・ポールという人物が共通して浮かび上がる。彼の正体とは。目的を追う。という話。 100ページくらいまではかなり楽しく読む。個人的な名文揃い。生体技術を利用したミリタリー描写。米軍の組織がエスコバルやフセインのような悪を排除する。仕事としてとてもメカニカルかつシステマティックなその描写。蕩尽される技術と手段と人員。それによって守られている安穏とした世界とそれに対する皮肉。ノームチョムスキーの、現在は棄却される仮説を下敷きに、ジョン・ポールの述べる虐殺の器官とそこから紡がれる文法。ルツィア・シュクロウプが出てからは、既視感を覚える展開が繰り返され、読むに倦む。オチはそんな感じと思ってなかったので、いいんだ……となる。 主人公がかなり場当たり的な思考をするようで、前半に蓄積された面白さの慣性で後半を読み切る。行動様式に理解が及ばなかったので、結末も突然に感じたか。 このボリュームの作品を一日(24時間以内)で読み切ったの、かなり久々かも。
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