糖
@inwatermelon_
2026年6月11日
存在の耐えられない軽さ
ミラン・クンデラ,
千野栄一
読み終わった
プラハの春、激動の時代において翻弄される恋人、愛人たちの話。
哲学的恋愛小説、というのが凄くしっくりくる。
語り手は、主人公たちをまるで優秀な被験体として扱うかのように、その一挙手一投足を理路整然と解剖していく。
そのさまが説教臭くならないギリギリのバランスで、ユーモアたっぷりに展開されていくから、するすると読めてしまう。
物語を支配するのが、様々な対比、二項対立。
重さと軽さ、魂と肉体、共産主義と民主主義、神と糞⋯⋯
これらを巡って主人公たちはすれ違い、交わり合い、人生のコマを先へ進めていく。
そんな法則の埒外にあって、全てをつなぎとめる存在が、犬のカレーニンだった。
わたしは、「カレーニンの微笑」と題された最終章、途中号泣しすぎて読書を中断せざるを得なくなった⋯。こんな経験は久しぶり、というか初めてかも。
頭をフル回転させ、人生哲学と極上のユーモア&アイロニーに身を浸し、ラストには爽やかな読後感が待っている。とても大切な一冊になりました。
「テレザ、使命なんてばかげているよ。僕には何の使命もない。誰も使命なんてものは持ってないよ。お前が使命を持っていないくて、自由だと知って、とても気分が軽くなったよ」



