-ゞ- "月と六ペンス" 2026年6月11日

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@bunkobonsuki
2026年6月11日
月と六ペンス
月と六ペンス
サマセット・モーム,
William Somerset Maugham,
金原瑞人
架空の画家・ストリックランドの人生を、ストリックランドの友人である主人公が語る物語。これだけ書くと質素だが、その話はかなり現代的だ。 ストリックランドは生前売れない画家として暮らしていた。死後、評価は一転して、彼の描いた絵画は巨額の値で取引されるようになる。まるでゴッホのよう。 なぜストリックランドが評価されるようになったのか。実は、この物語にはもう一人の重要人物がいる。ストルーヴェという人物である。彼は的確な批評を下す一方、凡庸な画家でもある。 ストルーヴェはストリックランドを尊敬しているが、ストリックランドはストルーヴェの妻を寝取り、遠くへ行ってしまう。 当然だがストルーヴェはストリックランドを憎む。しかし、それでも、彼の天才だけは認める。ストリックランドが死後に評価されたのは、(作中では明示されないが)彼の働きによるものだろう。 私は、この物語を「ストリックランドを語るという体で、ストルーヴェを顕彰する物語」だと思っている。かつて、妻を寝取られ、みっともなく醜態を晒す凡庸な画家。しかし、そんな人物がいたからこそストリックランドは世に出たのだ——。 独創的な天才は単独では成功しえない。 そのそばには、苦しみながらも寄り添う理解者がいるのだ。
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