きなこ "すべての、白いものたちの" 2026年6月12日

きなこ
きなこ
@kinako2025
2026年6月12日
すべての、白いものたちの
すべての、白いものたちの
ハン・ガン,
斎藤真理子
再読。 何度読んでも心に沁み渡る。 韻文のような散文。 「白」という言葉は韓国語で「하얀 ハヤン」と「흰 ヒン」がある。 作者があとがきで、その二つの言葉の違いを「綿あめのようにひたすら清潔な白がハヤンで、ヒンは生と死の寂しさをこもごもたたえた色である。」と語る。 まさにこの小説を貫いているのが生と死の寂しさなので、成る程と思う。 自分が生まれる前に、母が早産で産んだ姉。たった二時間しか生を享受出来なかった彼女を意識し、彼女の死と自分の生を考え続けることが、自身の生を意味づけること。 それを書くことによって、孤独と静けさ、そして勇気が作者に吹き込まれたという。この静謐な散文によって勇気が吹き込まれるというのが良い。分かる気がする。 熱を持った傷口を冷やし癒すのは冷えた、白い軟膏。 傷ついた心を癒す白い消毒薬や包帯のようなこの作品を、時々手に取ってみたい思いに駆られる。
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