
読書日和
@miou-books
2026年6月12日
神都の証人
大門剛明
読み終わった
借りてきた
冤罪で父を奪われた少女と、真実を求めた弁護士と検事。
昭和から続く80年の覚悟が、司法の「開かずの扉」をこじ開ける。
物語の最初の舞台は戦前の伊勢。
「神都って、そういうことか」と思いながら読み始めたものの、最初は少しピントが合わず、このまま読み切れるかな……と不安に。
でも、気づけば夢中になっていた。冤罪という重すぎるテーマ。吾妻太一、伊藤捨次郎、本郷辰治、伊藤太一――司法に携わる人々が世代を超えて再審を求め続ける。
けれど、その扉が開くまでには80年もの歳月を要する。再審の壁の高さに、何度も無力感を覚えた。
一章ごとに希望の光が見えては消え、また見えては消える。それでも続きが気になって、読み進めずにはいられない。
そして最後の20ページ。畳みかけるような展開とスピード感に圧倒された。図書館の順番待ち、長く待った甲斐があった。
気づけば今年は、昭和や大正から令和へとつながる「時代をまたぐ物語」をよく読んでいる。
激動の時代を生きた誰かの人生をたどることで、今の自分が立っている場所も少し違って見えてくる気がする。
最近分かってきたのは、自分が心を大きく揺さぶられるのは 「個人の人生を通して時代を見る本」なのかも。
時代の大きなうねりの中を生きた人の話、個人の選択が後の世代につながっていく話、「普通の人」が時代に翻弄されながらも、自分なりの矜持を持って生きる話。
一代記というより、複数世代にわたる物語に強く惹かれるのかな。昨年末から仕事で大きく揺さぶられることが多かったので、自分の立ち位置の確認もしたかったのかも。


