
時間のかかる読書人
@yoko45
2026年6月13日
ガウディの伝言
外尾悦郎
読み始めた
@ 自宅
§
生誕の門。左から「希望」「慈愛」「信仰」の扉口
私にとって、彫刻をつくっているときの理想は、「石の中に入って彫っている」という状態です。彫刻家でなくても、何かに没頭したことがある人は、同じような経験があるのではないでしょうか。夢中で仕事をしているうちに、時間が経つのを忘れ、周囲の音も聞こえなくなり、石を打っている自分の肉体の感覚さえなくなってくる。石と時空を浮遊しているかのような自分。こういう状態を指して、仏教の世界では「空」と言うのかも知れません。彫刻をつくるときには、当然、いろいろな計算や配慮をして彫っていかなければならないものですが、そういう思考の働きも意識する必要がなくなり、それでいて、次の作業がどんどん頭に浮かんでくる。体が勝手に動いている。まるで石に導かれているような感覚です。
そして、ふと我に返ったときに、「ああ、自分は今まで石の中にいたんだな」と感じる。
そういう不思議な気分を味わうことが、これまでに何度かありました。