K.K. "ハーモニー新版" 2026年6月13日

K.K.
@honnranu
2026年6月13日
ハーモニー新版
〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉を経た2073年、人類数十億人は健康情報をWatchMeと医療分子(メディモル)で管理していた。事故と老衰以外で人が死なない時代。主人公霧慧トァンは旧友零下堂キアンと再会、彼女は目の前で自殺を既遂。それと同時、6582人が自殺を図っていた。 『虐殺器官』が後半になるほどワンパターンな展開になっていたのと反面、『ハーモニー』はショッキングな冒頭に負けず劣らず、最後まで楽しませてくれる。大局的には、主人公が何をする必要もなく、いざ何かをしたとしてなんら影響を及ぼさないのが、いささかご都合主義の感が強いか。 本文中、語り手霧慧トァンの主観がプログラム的に示される。怒りを覚えれば<anger>怒りを覚えた事象</anger>と書かれたり、読者に説明する用語があれば<dictionary>説明する用語見出し<description>用語説明</description><dictionary>と書かれたり、回想すれば<recollection>懐古</recollection>と書かれたりする。最近の小説は行間を読ませる事なく全部書くみたいな懐古趣味提言をせせら笑うようだが、反面謎の味わいがある。本文中に一般的な文章における用法の疑問符って出てきてない? 個人的に本書はハッピーエンド。御冷ミァハの変節と霧慧トァンの行動はひっかかりを覚えるものの、雰囲気で見てた映画を補完出来たかな。
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