ちゃせん "源氏物語 8" 2026年6月13日

ちゃせん
ちゃせん
@arbata_caj
2026年6月13日
源氏物語 8
源氏物語 8
角田光代
長く続いた源氏物語も、これで完結。恥ずかしながら通読したことがなかったので、まずはやり遂げたという達成感がひとつ。そして、「夢浮橋」を読み終えて、「え、ここで終わり?」という戸惑いがひとつ。しかしあとがきも読んで思ったのは、このように未来に空白を残すような終わりにすることで、父からは存在を認められず、ふたりの男の板挟みになり、流されるようにして生きてきた浮舟の選択と、ある意味での自立が描かれたのではないか、ということだった。確かにねじくれて執念深く屈折した薫がこれで諦めるかというと怪しい気がするのだが、自分の意思を獲得し俗世を離れた浮舟には、もしかしたらはじめて、選択肢というものが与えられたのかもしれない。1000年も前に、多様な人間の愛憎や悲しみ、愚かさ、やさしさ、いとおしさ、さまざまな感情を鮮やかに描き出した紫式部の筆力に、改めて感服してしまった。
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