
𓂋⟢˖⊹ ࣪
@nmccormick
2026年6月13日

文學界 2026年6月号
文學界編集部
読み終わった
◯悪い血 / 鈴木涼美
好き!
勢いに任せて妊娠に至る行為をしたのに血液ひとつとられない男のことも、そんな男の侵入を許した私自身のことも、私の身体に平気で触ってさくさくと血をとった助産師のことも、多少腹がたつことがあっても許しがたいとまでは感じていないのは今となっては明らかだった。助産師に運ばれていった血液の中にあるのが、誰かに穢された痕跡というより、私自身の卑小な魂なのだと、私はうっすらと気づいている。それを見られたくないという強固な気持ちだけが痛む足を動かし続けている。