文學界 2026年6月号

文學界 2026年6月号
文學界 2026年6月号
文學界編集部
文藝春秋
2026年5月7日
5件の記録
  • ななり
    ななり
    @bluebook_mark
    2026年6月23日
    「悪い血」鈴木涼美 例えば美味しいものを食べ終えたときに、例えば綺麗な景色に感激した日の帰路に、例えば大切な人と過ごす時間の僅かな間隙に、ふと「こんな幸福を自分は得ていいのだろうか」と思う瞬間が私にはあります。犯罪に手を染めたことはないけれど、他者を言動によって酷く傷付けたことは幾度かあって、その事は過ぎ去っても尚、というより過ぎ去ったからこそ小さな、しかし深く刺さって抜けない罪悪感の棘としてじくじくと心に残り続けている。この小説の“私”が抱えているものはそれと同種の、けれどより濃く暗い棘ではないだろうか。風俗店で嬢として働き、時々で不特定多数とセックスをし、中学生だった頃には性被害に遭いながらもその対価の現金を受け取ったこともある、性や身体を蔑ろにしてきた自分の内側に、何も選ばなければ(放っておけば)うまれる命が意図しないタイミングで宿った事へのきまりの悪さ。《「何があってもそれに値する罪を自分が背負っていると思うな」》といくら言われても解放には程遠い救われなさ。感覚的な部分に留まる私の後ろめたさと比べて、事実として他でもない自分の血を分けた子どもの存在がある分、彼女が背負うそれらの苦しみは重い。ラストの解釈は読み手に依るところが大きいけれど、少なくとも再び彼女の元に夜は訪れる。ぐるぐると下る煩悶と幻想の螺旋の中で本当に救われる日はやってくるのかどうか。
  • 鈴木涼美「悪い血」
  • 🍭
    🍭
    @corocoropoop_
    2026年6月15日
    流れの早い水の中に手を突っ込んでも、散り散りになった紙はひとつも手でつかむことができない。
  • ◯悪い血 / 鈴木涼美 好き! 勢いに任せて妊娠に至る行為をしたのに血液ひとつとられない男のことも、そんな男の侵入を許した私自身のことも、私の身体に平気で触ってさくさくと血をとった助産師のことも、多少腹がたつことがあっても許しがたいとまでは感じていないのは今となっては明らかだった。助産師に運ばれていった血液の中にあるのが、誰かに穢された痕跡というより、私自身の卑小な魂なのだと、私はうっすらと気づいている。それを見られたくないという強固な気持ちだけが痛む足を動かし続けている。
  • 芥川賞候補『悪い血』を文學界で。一気に読んでしまった。面白い。 妊婦健診で管4本分の血液を抜かれた女性が、思い立ってそれを奪還しようとする話。ところどころで妊娠していた頃の妻を思い出し、わからんでもない、という気になった。 人生に何があっても、それは「罰」ではない。選びとった結果でもない。不条理ではあるのかな、とは思う。 「罰せられていると思うなよ」だ。 普遍的なテーマではあるし、人物の魅力もあって、今回も期待大。
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