本と香りと、 "すべての、白いものたちの" 2026年6月14日

すべての、白いものたちの
すべての、白いものたちの
ハン・ガン,
斎藤真理子
韓国文学読書会の課題本 一人で読んだときは、白い石を「沈黙の手ざわり」と例えることや、白いレースカーテンに心惹かれる描写など、人生を流れる時間への美しい眼差しと、それを文章として確かに表現する力に感嘆した。 けれど一方で、人生の根底に喪失経験を抱えている人が書き記した文章は、その経験に乏しい自分の浅はかさを直視させられるようで、ほんの少しだけ、恥ずかしい気持ちで読み終えた。 読書会では、「この物語の執筆を通して、ハン・ガン氏自身は喪失の経験を乗り越えられたのか?」という問いがあった。 私は自分を恥じ入るばかりで、ハン・ガン氏の視点に立てていなかった。本作の語り手のように、姉の吐いた息を引きつぎ、自身の生を吸い込んで歩みはじめたと…安易にとらえていた。 実際はどうなのだろう。本作が傷を抱えて生きる人間の救いとなり、寄り添い続けるように、ハン・ガン氏自身が抱える傷も癒えたのだろうか…そうであってほしい。
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