
midorisaejima
@midorisaejima
2026年6月14日
天皇への敗北
國分功一郎
天皇に頼ることなく、立憲主義を守ることが憲法学の役目だったにも関わらずそれがなされなかった。また、天皇は基本的人権の尊重における例外であると書かれてある。その憲法との矛盾をそのままにしていたことが戦争責任の問題と直結する。特に第4章ではっきりと書かれているが、憲法が規定する天皇制には明らかに矛盾があるのにそれを解決せずどうしてあいまいなままにしてきたのだという怒りが主張の中心に据えられている。加害者臨床の視点から、被害者の被害者性を構築し、責任の所在を明確にするのが重要だという意見も印象に残った。
「天皇への敗北」という、解釈が分かれそうなタイトルに敢えてしたのだろうと推測する。シリーズ一作目で引用されていたアガンベンがコロナ禍で行った「剥き出しの生」や緊急措置は非合理だとする主張を彷彿とさせた。すなわち、大衆が少し違和感を覚えるようにチクリと刺す。そのようなレトリックを使いこなすのが哲学者の役割だからだ。