
香夜
@kayoino
2026年6月14日
野火
大岡昇平
読み終わった
どこからどこまでが本当で、どこから幻覚なのか、誰にもわからないのだろうけど。
全てひっくるめて、人を狂わす戦争の超リアルな手記。
「足の甲はいつか肉が落ち、鶏の足のように干からびて、水に濡れにくかった。手の皮膚も骨に張りつき、指の股が退いて、指が延びたように見えた。
死は既に観念ではなく、映像となって近づいていた。」
序盤は死に対する考えが客観的に、理性的に描かれている。
徐々に終盤に差し掛かるにつれて、反射的な動きや考えが狂気となって現れてくる。
「後で炸裂音が起った。破片が遅れた私の肩から、一片の肉をもぎ取った。私は地に落ちたその肉の泥を払い、すぐ口に入れた。私の肉を私が食べるのは、明らかに私の自由であった。」
このような体験をした人間が、その前の状態に戻れるわけがない。

