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@bunkobonsuki
2026年6月15日
檸檬(れもん)
梶井基次郎
教科書で読む文学作品の中でも、際立って難解の感を抱く『檸檬』。梶井基次郎の代表作であると同時に、異色作でもある。
本書は梶井の作品を集めた短編集である。
その多くは平易で、家庭の瑣事について述べるものだ。読み終えて思うのは、『檸檬』も平易な作風だというところである。
『檸檬』では語り手が丸善へ行き、本の上に檸檬を置く。筋書きはそれだけなのだが、語り手の開陳する思想が読者に「はてな」と思わせる。
読者は、書き手がすべてを把握して書いていると想定して読む。分かりづらいのは、書き手の技量の問題だと片付けてしまいがちだ。
でも、『檸檬』は分かりづらいことを分かりづらいまま、本人にも分からないまま書いたのだと思う。漠然とした不安——病に臥した梶井、自殺した芥川など、「言葉にできないなにか」を文豪たちは訴えている。
知らないものを知らないまま書いてみる。
異色な試みが結実したのが、『檸檬』なのだ。
