みゆこ.~. "死神の精度" 2026年6月14日

みゆこ.~.
みゆこ.~.
@miUiko
2026年6月14日
死神の精度
死神の精度
伊坂幸太郎
短編だけど、最後まで読むと繋がりがあって面白い。どれも面白かったが、特に、最後のお話が好きだった。死神と藤田は、「陽気なギャングが地球を回す」読了後のような爽快感のある作品だった。読み終えた後すぐに、The Rolling Stones のブラウンシュガーとロックスオフを聴いた。 死神が主人公の作品。とはいっても、人間へ「死」をもたらす事象は、 「調査を行い、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断し、報告をする。それが私の仕事だ。」 「判断基準は個人の裁量に任せられているので、この調査制度は儀式的なものに近く、よほどのことがない限りは「可」の報告をすることになっている。」 「実際のところ、どういう基準を持って、どういう方針に沿って、対象の人間を選び出しているのかは、私にもわからない。部署が違う。私はその部署の指示に基づいて、仕事をするにすぎない。」 といったふうに、慣例的かつお役所的な仕事として描かれている。 私は公務員寄りの仕事をしているので、縦割り組織と、「状況が変わることが多々あるし、人間の思惑や考え方は常に変化する」ので、「ガイドラインに沿った回答しかできない」、という設定に親近感がわいた。 一方で、私たちの生死をそんな適当に決められてたら困るなぁとも思ったけれど、 とかいう私も「仕事」において、全てにおいて懇切丁寧にできているわけではないな、とも思うなどした。 そんな感じで、死神だが、不思議と遠すぎる存在には感じない。むしろ、人間であるように読み進められるのだが、時折、「また、刃物を使おうとしている。芸にバリエーションがない。」と言ったりするので、あ、人間じゃないんだった、と引き戻される感覚があって、それもまた心地よく、楽しかった。 死神の視点を通して、あらためて人間を客観視できた(異化効果というらしい)。とても面白かった。「死神の浮力」も読みたい。
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