ブタコヤブックス "夫は松田龍平じゃないけれど" 2026年6月15日

夫は松田龍平じゃないけれど
週に一回の連載という形で書かれていたからだろうか、一緒に過ごす家族の話が多く登場するエッセイ集だった。「どこの家族も似たようなところがあるんだな」と笑ったり、「さすが堀さん凄えや」と唸ったりしながら読んだ。 と、読み終えたばかりの今朝、ここまで感想を書いていたところで、我が家の洗面所の方向から「ポケットにティッシュが入っとる!この忙しいときに!!クソ!!」とブチギレる我が妻の声が聞こえてきたので、大急ぎで中断した。 まったく状況を察しない小2の息子が妻のもとに駆け寄った。何を妻に向かって言うのかと思ったら「あのね、キン肉マンってね、自分で考えた超人の絵を描いて送ると載せてもらえるかもしれないんだよ」と、関係ない話を持ちかけ火に油を注いだ。なお、ティッシュの出どころはこの息子のズボンのポケットからである。朝からひどい話である。 ひとかたまりのティッシュがもたらした家庭の危機は山を越えた。妻は出勤し、子どもたちは登校した。誰もいなくなった自宅でひとり、私も家族のことを考えながらこの文章の続きを書いている。 と、こんなふうにして我が家にも毎日何かしらの出来事がある。それはぜひ書き残しておきたいと強く思うようなものから、起きたその瞬間に忘れてしまうようなどうでもいいものまで様々である。大なり小なりそれぞれの家族にはそれぞれの出来事があり、それらに向けられる目線があり、それぞれに物語がある。 はじめにの章に、「あったこと、思ったこと、出くわしたことから開かれてゆくのがエッセイで、どんなことを書いても、そこには自分の目線がある。わたしが感じたことを書く。」と書いてある。この本には、ひたすらに堀さんの目線で、堀さんの周りの出来事のことが、堀さんが思ったまま綴られている。 こんな形で、家族との時間が形として残るだなんてステキだと思った。おそらく表紙の蟹は「かにかま列車」であろう。この子の名前の「列車」の部分に一切の説明が無いところがめちゃくちゃ良い。
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