浸る
@rattatatatat
2026年6月15日
つげ義春を旅する
高野慎三
読了
本文より
「すべての”責任”はつげ義春のおだやかな語り口にある。そのおだやかさは、ソフトなどという感触とはまったく異質のものだ 。湯治場について、旧宿場について、山かげの山村について語りだした瞬間から、旅のドラマが、風景としてのドラマが開始される。べつに、美辞麗句を重ね、形容豊かに、オーバー気味に語ることをけっしてしない。農山村のありふれた情景を、余計なことばを排して的確に伝えようとするだけだ。」
個人的には、この本には「ガロ」の編集者である作者が、つげ義春本人から聞いた、構想だけで発表されなかった幻のマンガのストーリーについても書かれてあって激しく興奮した。以下
「万力のある家」
簡潔にストーリーを紹介したい。男がなんのあてもなく雑木林の中を歩いていると、目の前の大木に縄が下がっていた。誰かが自殺しようとしたのかもしれないな、と思うていどで男は通り過ぎていく。やがて、雑木林の中に小さな小屋を見つける。戸を開けて中に入ると作業机の上に万力がくくられてあり、その万力にはまだ生温かい金魚が挟まれていた。男は、その万力に手をかける、というところで話は終わる。
おまけ
大塚駅南口の駅前のマーケットの中にはかつて芝居小屋があったらしい。