
ハヤシKYヘイ
@heiheikyo1
2026年6月16日
ポルトガル限界集落日記
浅井晶子
読み終わった
前職の仕事で、ポルトガルの田舎町へと3週間ほど出張に行ったことがあった。コロナ前のことだ。客先の工場に導入した装置のマシントラブルで、向こうのイースター休暇のうちに修理をするミッションだった。なんとか装置を復旧させて緊張の糸が切れたのだろう。お腹がぶっ壊れて終盤はほぼ物が食べられなくなり、帰国したら5kg痩せていた。ことで(私の中では)おなじみのポルトガル。ユーロ圏の中で比較的に安い物価や、米や魚の多い料理がうまいこと、若い従業員のお母様が焼いて差し入れしてくれたフワフワと甘いカステラ。仕事成分をさっぴいたポルトガルという国の魅力はインパクト大で、いつかまた旅行したいと思ったまま、仕事を辞め、別の仕事に就き、年月が経った。為替や世界情勢的にガンガン行きづらくなっているのが切ない。書店で本書のタイトルを目にした時にビビッと来て即買いした。
私がかつて訪れた街は、車で少し移動すれば国内第三の都市があり、その街中にホテルをとっていた。だから本書に出てくる限界集落は私がイメージするポルトガル像をさらに上回るレベルでのどかで、おおらかだ。大量のぶどうやオリーブがとれ、高品質のワインとオリーブオイルが湯水のように飲める感じとか、豪快な肉料理を近所(といっても限界集落なので距離的に家はめっちゃ離れていたりする)の人と集まって分け合い、語らう感じ。異国情緒、異世界の体験記として面白い。
コロナ禍に突入した頃にドイツからポルトガルへと移住した著者が見た欧州でのコロナ対策の実情なんかも克明に記される。「あの時は大変だったよね」という点においてある種の共感をもって読めるところも、今となっては興味深い。仲良くなった村のおばあさんが具合を悪くした時に、お見舞いしようにもなかなかできなくて、といった場面は胸に迫る。あとこちらの予想に反したお年寄りの活力に逆に勇気づけられたりするところも、なんかわかるな〜と思った。
