
花 ゆき乃
@floryukino
2026年6月17日

沼地のある森を抜けて(新潮文庫)
梨木香歩
読み終わった
そうだった、と思い出す。梨木香歩はファンタジーを書く人なのだった。
梨木さんの作品はわたしのなかですこしとくべつな位置にあり、小説を愛読しているのはもちろんだけれど、それ以上にエッセイを好んで読むというわたしにとって珍しい作家である。彼女の、まず文体がすき。甘さも妥協もなくフラット、だからこそ時に温度が低く感じられるあの冷静さ。
そうした現実世界に基づいたエッセイばかりを読んでいたから忘れてしまっていた、ファンタジーを書く人なのだったということ。それはでもメルヘンなおはなし、というわけではなく、ファンタジー的なもの、あるいは人の力を超えたものを借りて人が生きるということを描き出しているのだろう。
ずっと、ほんとうにずっと、こんな本が読みたかったのだとおもった。


